【複雑系思考】のセンス。
| 第3回目の投稿:2000-08-02 |
| [from50]のみなさんへ: MUSEさんへ:
坂本っちゃんへ: Poesieです。こんばんは。 [複雑系のセンス] 第3回は、ゲーム理論についての続きです。 ************************** |
進化ゲームはそもそも数学の一つの分野です。そして数学にはだいたい、ちゃんとした答えが見つかります。進化ゲームで安定な解が見つかると、それが社会の制度や振舞に対応している、と考えるのが進化ゲームの立場なのでした。進化的に安定な解が社会に定着しているさまざまな制度を説明し、囚人のジレンマで見つかったしっぺ返し戦略が、利己主義者たちの集まりからさえ協調性が生まれてくることを説明するとしました。 そのように疑問をもっていただくのが、私のひそかな狙いでもあります。思い返しますと、以前に(6/12でした。ご記憶でしょうか?Dr. Pの臨時特番 Sub Title: 今の世の中は自己組織臨界状態にある? で)お話させていただいたように、私たちはつねに秩序とカオスのはざまにある「カオスの縁」にいるのでした。社会がカオスの縁にあるところに、いつまでも社会が存続し続ける秘密があるはずなのです。 ************************** |
相手が私を裏切ったら、より効果的に私が相手を裏切る。そうすると、今度は相手がさらに工夫を重ねる。こうして果てしない闘いが展開する。ここで大事なのは、途中で立ち止まらないで、いつまでも工夫しながら闘い続けることです。感染症をめぐる人間と病原菌との闘いは、そうした進化ゲームの一例です。たがいに相手を倒そうとする軍拡競争もそうです。 生物の進化の過程には、このような果てしない闘いが広く見られます。この過程を表現するのに、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』(高山宏訳)が生物学に登場しました。 進化ゲームというのは、それに参加しているプレイヤーたちすべてが、全速力で自らを変化させている過程なのだ、という仮説です。 赤の女王の言葉に従っているよい例が【共進化】です。食う者(捕食者)と食われる者(被食者)とのあいだによく見られます。捕食者にやられまいとして、被食者が工夫をする。たとえば捕食者に見つからないように変身したり、捕食者がいやがるような臭いや色になったり。これらは「擬態」として知られている現象の一端です。先ほどの人間と病原菌の間の関係もまた、共進化です。 おたがいに緊張関係を保ちつつ、だましたりだまされたりしながら、とにかく共有している様子を表現しているのです。 生物も、その一員としての私たち人間も、生きていくということは、「生老病死」ともいわれるように、複雑な営みです。好きな相手と好きなことをやって生きていくのではありません。それぞれが利己主義を貫き、相手を利用し、相手に利用されながら、なんとか共に生きようとしているのです。 話がそれましたが、進化ゲームにも、一方の側に秩序をもった安定な解があり、他方でいつ果てるともわからない「赤の女王」の過程があるのです。そして、複雑系のつねとして、私たちの社会は、ある面で秩序をもった解(さまざまな制度)に従い、ある面で闘い続けるダイナミックスを持っていて、つまりはカオスの縁にあるのだといえるでしょう。 ************************** |
今日は、ここまで。 By Poesie |
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