
うつ病あれこれ(2)では、ストレスやうつ病が原因となって現れる「からだの病気」について説明しました。 うつ病あれこれ(3)では、「うつ病」をさらに正しく理解するために、「うつ病」と関係するさまざまな「精神疾患」について解説し ました。 その中からここでは、■7. 生活の破綻にもつながる「依存症」をもう少し掘り下げてみることにします。 |
●1-1. 「依存症」になりやすいタイプがある 「アルコール依存症」の例は、昔から多くありましたが、最近では「薬物依存症」や「ギャンブル依存症」が増えています。「薬物依存症」の中でも特に、覚醒剤がらみの犯罪は、使用しただけで逮捕されるばかりか、薬物による幻覚や妄想から人を殺傷するケースも少なくありません。薬を買う金が欲しくて盗みを働くケースも増えているようです。 「ギャンブル依存症」は他人に直接危害を及ぼさなくても、借金を重ねて家計が破綻したり、会社の金を使い込むといった例も多くなっています。 こうした「依存症」に陥る人の多くは、何かしら心理的な問題を抱えているものです。従って、この心の問題を解決しない限り、「依存症」からは脱却できません。例えば、仕事がうまくいかないなどの理由で憂うつな気分が強く、それを晴らすためにアルコールやギャンブルに溺れているとすれば、まず、仕事上の悩みを解決しない限りは、「依存症」を治すことはできないのです。 「アルコール依存症」は遺伝も多少は関係していますが、家族の習慣といった文化的伝達の面も強いようです。ただし、自分の意志でこうした影響を断ち切ることはできます。例えば、「アルコール依存症」になりやすい人は、不安に耐える力が弱く、そのため酒に逃避してしまうのですが、そういう性質は親から受け継いでも、それを自覚して「自分は性格的に弱いから酒に逃げるのはよそう」と自分をコントロールすればよい。実際、親が酒に溺れて仕事をせず、家族がつらい目にあっている様子を幼い頃から見てきたため、あえて酒を飲まないように自戒している人もいます。 「ギャンブル依存症」も同じで、ギャンブル好きな性質は親から受け継いでも、親の行動を真似るかどうかは、本人の意志と選択にかかっています。父親のギャンブル好きに苦労した話を母親から聞かされて育った子どもは、ギャンブルに対する警戒心が強いものです。 覚醒剤やシンナーといった「薬物依存症」の場合は、精神的に逃げ場を求めて手を出すというよりも、快楽を求めて使用しているうちに溺れることが多い。また、悪い友人と付き合っていたり、家庭が混乱していることが多いので、薬を断つためには医療機関での入院治療が必要になり、あわせて心理療法を行うことになります。この場合も、衝動的な快楽を求める性質は親から受け継いでいるかもしれないが、本人が自戒すれば薬を遠ざけることが可能となります。 |
●1-2. 「依存症」を断つには本人の強い意志が必要 一般に、こうした「依存症」は治りにくいとされています。治療にあたっての最大のポイントは、やはり、本人が「絶対にやめよう」という強い意志を持つことです。 「アルコール依存症」の場合には、 断酒剤(これを服用してから酒を飲むと、気分が悪くなって苦しむ)などもあるが、これを使ってさえいれば酒がやめられるわけではありません。酒を飲みたいがためにわざと断酒剤を服用しなかったり、退院したとたんに飲酒に逆戻りするケースは少なくないのが現実です。 ちなみに、「依存症」というのは、酒なり薬を摂取するのをやめると離脱症状(禁断症状)が出るものをいいます。これに対して、離脱症状は出ないが、毎日のように大量の酒や薬を摂取している状態の場合は、「アルコール乱用」とか「薬物乱用」と言っています。 では、個々の問題について考えてみましょう。 |
●2-1. 「薬物依存症」の症状 一口に薬物と言ってもいろいろありますが、主な薬物とその症状を見てみましょう。 まず、少年が手を出しやすいものに「シンナー」が あります。これは有機溶剤なので、厳密な意味では薬物とは言えませんが、麻酔薬に似た作用があります。シンナーを吸い込むと最初は興奮し、その後で抑制状態になります。大量に吸い込むと麻酔状態になりますが、それほど強い麻酔作用を持っていないため、普通は興奮期が長く続く。興奮期には幻覚が現れたり、うっとりした陶酔感に包まれる。。。。それを求めて乱用者があとを絶たないのです。 最近、急速に広がっているのが「覚醒剤」 です。これは一時的に気分を高揚させ、自信がみなぎって、爽快な気分になり、疲れが一気に取れたような感じがします。そのため、精神科でも抗うつ剤として使用することもありますが、もちろん常用することはありません。 この覚醒剤には食欲を抑える作用があるので、やせるために覚醒剤に手を出し、やがて「依存症」に陥る少女が増えて社会問題になっています。また、運動機能を一時的に向上させる面もあるので、スポーツ選手がこっそり用いることもあり、ドーピング検査の対象にもなっています。 一方、古くから海外で乱用され、日本でも広がりつつあるのが「コカイン」です。医療の世界では局所麻酔として使われますが、全身的な作用としては、中枢神経系を興奮させる働きがあります。普通の覚醒剤より強い興奮をもたらすので陶酔感も強くなりますが、作用が持続する時間は覚醒剤に比べると極端に短く、もし大量に摂取すると急性中毒を起こし、けいれんや心臓麻痺(まひ)を起こします。 若者の間で早くから使われていた「幻覚剤」は、LSDがよく知られています。ほんのわずかの量で幻覚を生じさせ、視覚や聴覚などの感覚がきわめて鋭くなります。また、意識や思考の集中力が高まります。しかし、他方、周囲への配慮や注意力は逆に低下し、感情の起伏が激しくなり、緊張感や不安感が増大します。肉体的な変化としては、瞳孔拡大、血圧上昇、反射の亢進、振戦(指などの細かいふるえ)、悪心、体温上昇などが起こります。 こうした薬物を使用することは違法なことだと本人も承知しているため、隠れて使用することになります。そのため、家族や周囲の人はなかなか気付きません。長期にわたって常用して、身も心も変調を来たしてから周囲が気付くか、警察に捕まって発覚するかのどちらかのケースが多いのはそのためです。 |
●2-2. 「薬物依存症」を断つにはどうするか? 青少年の場合、ほとんどが友達に誘われて薬物を始めており、気の弱い依存的なタイプが多い。この場合には、父親など家族のキーパーソンが乗り出して、本人をその仲間から引き離すことが大事です。薬物と縁を切るだけでなく、家族の絆を回復することも必要だからです。 以前、某有名女優の息子が薬物使用で逮捕されて話題になったことがありますが、彼には、その逮捕の2年前にも薬物使用で一度逮捕された前歴があったのです。親たる女優は最初に逮捕された段階で、息子を悪い仲間から引き離し、家族の関係を組み立て直すべきだったのです。 大人の「薬物依存症」の場合は、家族の働きかけで薬物をやめさせることは、事実上ほとんど不可能だとされています。大人の常用者は反社会的な傾向が強く、いくら家族が努力しても徒労に終わることが多いのです。 一例を挙げますと、50代の男性作家。うつ気分から抜け出すと同時に精神的な高揚を得られるということで、薬物に手を出し、そのうち常用せざるを得なくなってしまった。薬の助けを借りれば、疲れを知らずに作品を書き続けることができるからです。しかし、薬をやめようとすると、手はふるえ、汗が止まらず、動悸が激しくなり、時には幻覚も見えるようになり、もはや、自分の意志では薬物を断ち切ることができなくなってしまっていました。 結局、そんな彼の薬物依存に終止符を打ったのは警察でした。日本では薬物の取り締まりは厳しく、彼も警察に逮捕されてようやく、「薬物依存症」から離脱することができたのでした。 |
●3-1. 「アルコール依存症」の害 日本では、酒の上の失態は比較的大目に見られることから、「アルコール依存症」がよほど進行して、日常生活が破綻でもしないかぎり、誰も気付かないことがあります。しかし、病的な「アルコール依存症」と「アルコール乱用」は成人の10%強に見られ、しかも年々増加傾向にあるとされます。 アルコールの害はいろいろありますが、一度に多量に飲むと「ブラックアウト」といって、記憶をなくすことがあります。 「昨夜は飲みすぎて何を話したのか覚えていない」 「どうやって家に帰ったのか思い出せない」というものです。 ブラックアウトがたびたび起きるようになると、社会的なトラブルの原因になりやすいだけでなく、人とケンカをしたり、家族に手を上げたり、交通事故を起こしたり、仕事を無断欠勤するようになります。 アルコールを長期間飲み続けると、体にもさまざまな障害を引き起こします。例えば、アルコールは大脳の乳頭体に悪影響を与えて記憶障害になりやすく、アルコール性健忘やアルコール性痴呆に陥ることもあります。さらに、すい臓炎、糖尿病、高血圧、動脈硬化症、脳血管障害、心臓疾患ばかりでなく、アルコールは免疫機能を低下させるので、インフルエンザなど感染症にもかかりやすくなります。 禁断症状で最も激しいのは「振戦せん妄」(しんせんせんもう)という症状で、死亡率も高い。たとえば「アルコール依存症」の人が交通事故に遭って病院に入院し、酒を飲まない日が2,3日続くと、急に熱を出したり、幻覚や妄想も現れて、もうろうとした状態になります。幻覚は「無数の虫が体の上を這い回っている」というように小動物であることが多く、ネズミ、ヘビ、クモなどがよく見られるようです。やがて、意識混濁に陥り、そのまま命を落とすこともあります。 |
●3-2. まず「うつ病」を治すことが先決 「アルコール依存症」になるパターンで一番多いのは、うつ気分を晴らすために飲み、そのうち大量に飲まないと気持ちよくならず、だんだん酒量が増えていくというコースです。 「アルコール依存症」の患者さんは、不安、うつ気分、不眠、性的不能なども訴えることが多く、とりわけうつ病を併発している人が目立ち、「アルコール依存症」の人の約6割がうつ病というデータもあります。従って、「アルコール依存症」の治療は、うつ病を治す必要があるのです。 薬物療法では、「アンタビュース」という断酒剤を毎朝服用し、アルコールを飲むと吐き気がしたり、気分が悪くなるようにして、アルコールを断念させるように仕向けることが多い。 しかし、最大のポイントは、何といっても本人が禁酒しようという強い意志を持つことです。 調査によると、断酒に成功した理由は、 1. 「自分から決心して」が60%で圧倒的に多く、 2. 次いで「病院によって」、そして 3. 3番目が「AAによって」となっています。 AAとは Alcholics Anonymous の略で、「断酒会」のこと。アメリカからはじまり、日本にも広がった自助グループです。メンバーたちが、「アルコールで自分の家庭がいかに悲惨な目に遭ったか」とか、「こうして酒をやめることができた」といった体験談を語り合い、互いを支えあって集団療法を行っています。 M医師が扱った悲惨な例の紹介です。 大学の助教授という47歳の男性。「アルコール依存症」で入院してきました。「アルコール依存症」の人は、一般に愛情欲求が非常に強く、表現も派手なものですが、彼もその傾向があって、入院中にある女性に近付き、自分に妻がいるにもかかわらず、「結婚しよう」と迫った。M医師が間に入ってやめさせると、ひどく怒って勝手に退院してしまった。退院後は前にも増して酒を飲んでいるようで、ろれつが回らない口調で病院に電話をかけてきて、M医師を罵倒したりということもあったとか。 その後、彼の「アルコール依存症」はますます進行し、やがて「アルコール依存症」専門の病院に入院し、本格的に治すことになりました。3ヶ月の治療プログラムを終え、ようやく退院しましたが、なんとその直後に自殺してしまいました。自宅に戻っていくらも経たないうちに、再びアルコールに手を出すようになり、どうしても酒をやめられない自分にあるいは絶望したのかもしれません、ね。 |
●4-1. 病的なギャンブラーと化すプロセス パチンコ、競馬、競艇、競輪など、日本には多種多様なギャンブルがあり、かつては一部の男性愛好家のためのものでしたが、最近では女性や若者も参加するようになっています。と同時に、「ギャンブル依存症」も増え続けています。これが問題になるのは、ギャンブルに病的にのめり込んで、生活に支障を来たすほどになってからですが、その段階になるとやめるのは容易ではありません。本人や周囲が早めに気付いて、心に潜む問題を解決する必要があります。 一般的に「ギャンブル依存症」は、うつ状態にある人が多く、そこから逃れるためにギャンブルのスリルと快感にのめり込もうとするのです。ギャンブルで味わう興奮は、酒や薬によるそれと似ているからです。病的なギャンブラーになるまでには、一つの流れがあります。 第一の段階は、 ギャンブルにある程度勝っていて、時には自分の月収に匹敵するほど賞金を獲得することもある、いわゆる「ビギナーズ・ラック」の段階です。しかし、まだこの段階では自ら止めることは可能といえます。 第二の段階は、 次第に損失が出始める頃です。幸運にも大金を稼いだ体験があるので、うまくすれば損を一気に取り戻せると考えたり、ギャンブルで生計を立てようと考えるが、やがて損失が膨らみ、言わば「ギャンブルの名人」から「愚かなギャンブラー」になり下がってしまいます。この段階になると、人からお金を借りたり仕事を失うなど、生活に破綻を来たすようになっています。 そして、第三の段階は、 言わば「やけっぱち」の段階です。多額のお金を注ぎ込み、返済できないのに借金を重ねるから、債務は雪ダルマ式に膨れ上がってローン地獄に陥り、一時しのぎのつもりで、横領などの犯罪に手を染めたりする最終段階です。この段階に達するまで一般的には約15年かかると言われています。 これといった治療法はありませんが、多くはうつ病を伴っているので、抗うつ剤や心理療法、 高照度光照射療法(光療法)などでうつ病の治療を行うことによって、結果的にギャンブルに頼らずとも生きていけるようになり、「ギャンブル依存症」から脱却できるケースがあります。 |
●4-2. 出世競争に敗れ、パチンコにのめり込む M医師が扱った例からの紹介。 ある大手銀行に勤める38歳の男性サラリーマンはいわゆるエリートコースを歩んでいましたが、この2年間は欠勤が多くなり、それも無断で休むことがしばしばでした。上司が欠勤の理由を問いただすと、彼は「パチンコに夢中なんです。新しい店がオープンすると聞くと、片道2,3時間かけても朝早くから行って、一日中やってしまうんです。」と打ち明けました。 毎朝、6時半には家を出るのですが、会社に行かずに遠方のパチンコ店に向かうこともたびたびだったといいます。一日で数十万円の利益を上げる日もあったが、収支を計算すれば完全に赤字でした。妻も夫から渡される生活費がだんだん減っていくので、不信感を抱くようになっていきました。 彼自身にも罪悪感があり、パチンコから離れたいと、自ら希望して入院しました。 なぜ、エリート銀行マンが働き盛りの時期にパチンコに夢中になってしまったのか? 最初はわからなかったが、面接を重ねるうちに原因が見えてきました。銀行というところは、彼の年齢ぐらいになると配属によって先が見えてくるそうで、彼の場合は最早大した出世は望めないのだと言います。それで、挫折感が生まれ、憂うつな気分を晴らすためにパチンコにのめり込んだというわけです。 そこでまず、うつ病を治療することにして、抗うつ剤を投与すると同時に、心理療法では「どんな生き方が望ましいのか?」 「自分の納得できる生き方は何か?」 といったことを話し合い、他人の評価や出世にこだわってきたこれまでの生き方を見直すように努めたのです。 彼が自ら気付いて自分の生き方を修正するにつれ、挫折感やうつ気分は自然に薄らぎ、少しずつ「パチンコ依存症」から抜け出すことに成功したのです! |
●5-1. 「うつ病」は死に至る心の病 精神科の患者の多くが自殺予備軍であり、自殺未遂を経験している人も少なくありません。お願いだから死なないでくれよ、と祈るような気持ちで治療にあたっている医師も多いことでしょう。 よく「死にたい、死にたい、という人に限って自殺はしない」と言われますが、それは間違いです。自殺を図る人の多くは、死にたい気持ちをいろいろな人に伝えており、それは藁(わら)にもすがる思いで助けを求めて発するSOSのようなものです。 それでも何の援助も得られないとなると、いよいよ自殺を具体的に計画することになるのです。 「あの場所で、こうやって死のう」とか、「ここで薬を飲んで死のう」というようなことを考える段階になると、自殺者はもう他人に死について話さなくなり、むしろふっきれたような明るささえ見せるようになるものです。精神科医はこれを《死の前の静けさ》と呼びます。そしてほどなく実行に移すのです。 自殺を遂げた人のおよそ7割は「うつ病」で、2割は「アルコール依存症」であると言われます。そこで、ここでは死に至る病ともいえる「うつ病」について、改めて考えてみます。 |
●5-2. 単相性うつ病の特徴 うつ病の患者さんは、精神科の患者さんの中で最も多い。特に外来患者に多く、その大半がうつ病と言ってもいいですね。 うつ病は、かつて《躁鬱(そううつ)病》という名前で呼ばれていましたが、躁とうつのある躁うつ病は「二相性躁うつ病」(双極性障害)、うつだけの場合は「単相性うつ病」(大うつ病)と区別されるようになりました。ここでは、単相性うつ病を取り上げます。 年齢的には40〜60歳がピークで、男性より女性の方がやや多い。それを反映して、この世代の自殺率は高い。ただし自殺するのは男性に多く、男性は仕事の悩みや経済的な問題などで社会的に追い詰められる度合いが高いからと思われます。 うつ病は、最初の段階ではうつ気分にさいなまれ、気力がなくなり、疲れやすくなります。普通は疲れていれば、たっぷりと睡眠をとって体力や気力の回復を図ることができるのですが、疲れているのに眠れないというのが、うつ病の大きな特徴です。 この睡眠障害は、 1. 寝つきが悪いタイプ、 2. 寝ても途中で目が覚めてしまうタイプ、 3. 寝ても短時間で目が覚めてその後眠れなくなるタイプ などがありますが、いずれにせよ睡眠時間が短くなります。 ↓ すると、疲労はどんどん蓄積され、やがては集中力がなくなり、本を読み続けられない、テレビを観ても内容を追えない、という状態になってきます。 ↓ さらに、何をしても楽しくない、熱中していた趣味もやる気がしない、また食欲が低下して、ときには味がわからないこともあり、そのため体重が低下することもあります。 ↓ さらに、「日内変動」という症状が出るようになります。特に朝は頭に鉛が詰まっている、あるいは重石(おもし)がぶら下がっているように、きわめて心が重苦しく感じます。そして夕方になると比較的楽になる、、、、こうした一日のサイクルを毎日繰り返すようになります。 ↓ さらに病状が進行すると、 「こんな自分ではしようがない」 「これでは家の者に申し訳ない」 「こんな人間は会社のみんなに迷惑をかける」 というように、しきりに周囲への迷惑を気にするようになります。 ↓ この自責感がさらに強まると、やがて死を意識するようになり、 実際に、 「死にたい」 「自分のような人間はこの世からいなくなるべきだ」 というところまでくると、うつ病の最終局面となるのです。 ◆うつ病は、誰もがかかる可能性のある心の病気です。 ◆一生のうち、うつ病になる確率は10%前後と言われています。これは他の心の病気と比べてきわめて高い確率と言えます。 先に、「年齢的には40〜60歳がピークで、、、」と指摘しましたが、最近は若年化の傾向もあり、30歳以下の若い人にもうつ病が見られるようになっています。小学生の不登校児の中にもうつ病が見られるという報告もあります。かつて、うつ病はある程度人格が成立した後に起こるものと考えられていましたが、昨今は人格が十分に成立しない児童にも見られるようになってきたというわけですね。 |
●5-3. 「うつ病」を引き起こす精神的な負担 中年期のうつ病のケース。48歳の男性は、数ヶ月前に某電機メーカーの部長に昇進しました。周囲は当然祝福し、彼も嬉しかったのですが、この先ちゃんとやって行けるだろうか?という不安もありました。 やがて彼は完全癖を発揮して、部下の仕事を念入りにチェックし、細かいことにも口を出すようになりました。これまで以上に残業に精を出し、会社を出るのも彼が最後になることが多くなりました。そのため部下は、いささかやりにくい様子。 そのうち部下のちょっとしたミスで、彼が事後処理に追われることに。部長になって早々のトラブルに、すっかり気が重くなってしまった彼は、そのことを考えると夜も眠れなくなり、「自分は部長としてこれから先やって行けるのだろうか?」と悩むようになったのでした。 不眠が続いて疲労が蓄積し、会社でもボンヤリすることが多くなりました。仕事の資料を読もうと思ってもなかなか頭に入りません。記憶力も低下したようです。朝起きるのも辛くなって、会社に行くのが嫌だな、と思うようになりました。入社以来25年になるが、会社に行きたくないと思ったのは初めてのこと。こんなことになるなんて自分でも信じられないことでした。妻にグチをこぼすと、冗談だと思って取り合ってくれない。 やがて食欲がなくなり、体重が3キロ、4キロと減り、ようやく妻もおかしいと思い始めました。会社の部下たちも、この頃には部長の変調に気付くようになりました。何を決定するにも遅れがちでグズグズしています。これまで自信に満ちた口調だったのが、話し方が頼りなげになってきました。 部長仲間でも「疲れているのではないか?」と気遣ってもらったが、「そんなことはない」とムキになって否定しました。しかし、実はこの時、ポケットには辞表が入っていて、手帳には遺書めいた言葉を書き記していたのです。 帰宅後、妻に「これから飲みに出る」と言って外出したことがありました。いつにないことなので、様子がおかしいと疑った妻があとをつけてみると、夜の公園で一人ブランコに座ったまま動かず、悩んでいる様子でした。やがて夫が川に向かって歩き出すと、妻は「死ぬつもりではないか?」と察して、夫に駆け寄って泣きつきました。夫を引きずるようにして帰宅した妻はすぐに病院に連絡をして、翌日病院に連れて行くことにしたのでした。 夫と妻の二人の話を聞き取った医師の診察では、典型的な「昇進うつ病」とのことでした。几帳面なタイプの人間が部長に昇進した重圧から、うつ病を発症させたのでした。「どうせ私は治らないから入院したくありません」と入院を拒否する彼に対して、医師は「あなたは治らないと言うけれど、専門家の私に任せてくれれば必ず治ると思います。もし2週間入院治療して治らなかったらその時は家に帰ってもいい。だからその間だけは我慢してほしい」と約束して、即日入院させたのでした。 はたして入院後1週間で体調が回復し、よく眠れるようになった。その時点で入院生活を嫌がらなくなり、医師を信頼するようになって、じっくり治療に取り組めるようになりました。こうして3ヶ月でほぼ完治して退院しました。その後は、外来も次第に間遠になり、1年後には外来診察の必要もなくなったのでした。 |
●5-4. 自殺願望の強い「うつ病」患者 もうひとつは、妻をガンで亡くした48歳の男性サラリーマンの実例です。 彼は妻を看取ってから3週間ほどしてうつ病の症状が現れるようになり、自らの意志で外来を受診します。医師の診たてでは、非常に依存的な性格で寂しがり屋であり、妻の死は大きな打撃だったようでした。 うつ気分が強いため、食欲が失せ、疲労感も強く、残された二人の子どもの世話さえ満足にすることができなかった。そのうち朝、布団から出る気力もなくなり、夕方になってようやく起き出すようになり、会社にも行かなくなってしまった。集中力も低下して、新聞を開いても活字を目で追うだけで、中身がさっぱり頭に入らない。テレビをつけてもボンヤリ眺めているだけだったといいます。 病院に診察を受けにやってきたのがその頃。日毎に自殺したいという気持ちが強くなって、医師と向き合っている時も、いかにも苦しそうな様子でボソボソと話す。 外来治療は、自殺念慮(自殺したいという考え)が強いので、一日おきに抗うつ剤の「クロミプラミン」を点滴し、早急な改善を試みます。心理療法では、彼の気持ちを静かに聞き、適度に助言するという支持療法を続けるうちに、2ヶ月ほどで大分良くなってきました。 3ヶ月目には会社に行けるようになるまで回復したのも束の間、1ヶ月もしないうちに再発してしまいました。 その後、薬の投与を再開して再び出社できるようになりましたが、様子を見ながら外来で治療を継続。彼の場合、うつ病の原因となった生活環境を変えられるわけではなく、また依存的な性格も簡単に改善できないので、今後も再発する可能性は否定できないと思われます。 |
●5-5. 「うつ病」になりやすい悲観的なタイプ 今の時代は、 中高年世代が精神的に変調を来たすことは珍しくなくなっています。ワーカホリック(仕事中毒)の人がなりやすい「燃え尽き症候群」、子どもが巣立った後に落ち込む「空の巣症候群」、とくに原因が思い当たらない「慢性疲労症候群」などは、その多くがうつ病と思われます。 この世代にうつ病が多いのは、体力が低下しているにもかかわらず、仕事量や責任が増えるばかりで、それに対応できず、押しつぶされてしまうからです。「昇進うつ病」のように、責任感と環境変化が強いストレスになってうつ病を発症することもあります。 配偶者と死に別れたことがきっかけになって発症するケースも少なくありません。 一般にうつ病になりやすい人の性格というのは、生真面目で完全癖があり、責任感が強いタイプです。特にこのような性格の会社人間は、当然のように出世していくが、ある程度まで出世すると責任も仕事量も増大して、そのうちにそれらに対応できなくなるため、うつ病になるというパターンが多いのです。 しかし、うつ病につながりやすい人の性格を調査してみると、自己否定的あるいは悲観的な性格が最多でした。それに次いで多かったのは、人のことを気にする対人過敏タイプ、あるいは人に依存しやすいタイプでした。ちなみにアメリカでは、うつ病になりやすい性格というのは、まず第一に強迫的性格、二番目に演技性人格、つまりかつてのヒステリー性格です。 うつ病は先進国ほど多く、先進国病と言ってもよいでしょう。対人関係が複雑になり、社会構造も複雑になるにつれてストレスが多くなります。そのストレスを軽減するには、心を許せる人と親しく接すればいいのですが、そういう人間関係が希薄なのが先進国。中でも、都市部は、地域共同体が無く、隣家との交流も見られず、家族もバラバラになりつつあります。 そのような中でストレスを解消しようとしても、その悩みを聞いてくれる人、支えてくれる人がいないので、自分一人で悩みを抱え込み、そしてうつ病になってしまうのです。 従って、うつ気分になったと思ったら、悩みを聞いてくれそうな人を見つけたり、趣味や楽しみを見つけたり、思い切って仕事を休んで旅行に行くなどして、ストレスをうまく回避してみることが大切です。それがうまくいかず、うつ病になりそうだったら、早々に精神科の病院や心療内科のクリニックを訪ねてみることですね。 |
●5-6. 「うつ病」の治療法 うつ病の治療では、まず薬物療法を用います。薬物療法はきわめて効果が高く、抗うつ剤は一般的に70%前後の効果が確かめられています。眠気がある、ふらつく、のどが渇く、といった副作用もありますが、概ね1〜2週間後には効果が出てくるはずです。 それに合わせて心理療法も行いますが、最近は《認知療法》を行うケースが増えているようです。うつ病の人というのは、「自分はダメな人間だ」 「自分は人に嫌われている」 「自分には能力が無い」といった具合に、自分を否定的にとらえ、その考えから抜け出せない傾向があります。この考え方を是正し、妥当な考え方ができるように引き戻す治療法が《認知療法》とよばれるものです。うつ病の患者さんに対する《認知療法》の例を紹介します。 42歳のサラリーマン。うつ病で外来に。話を聞いてみると、会社でちょっとした失敗をして、それ以来「自分は無能だ」 「会社のみんなに申し訳ない」と思い詰めるようになったとのこと。そして、会社へ行く元気もなくなり、家に引きこもるようになったとのことでした。 患者さんと医師との会話を、かいつまんで再現すると、 「いったい、会社でどんな失敗をしたんですか?」 「約束していた仕事をうっかり忘れてしまったんです」 「そんなことは、誰でも一度や二度はあります。そんなささいな失敗で、自分は無能だと決め付けるのは妥当ではない、と思いませんか?」 「そう言われてみればそうですけれど……」 「それは自分の能力をあまりにも過小評価した見方で、現実的な判断ではない、と思いませんか? 失敗は部分的なものに過ぎないし、それもたまたま忘れてしまっただけのことです。 あなたの能力そのものが問題になるレベルではないでしょう」 医師はこの会話で、彼の認識のゆがんだ部分を指摘したつもりです。うつ病になりやすい人は、完全癖や他人の評価を気にし過ぎる傾向が強く、ちょっとした自分のミスも大きくクローズアップしてしまいがち。そのため、実像がゆがめられてしまうのです。医師はこの会話のなかで、彼にもっと視野を広げて考えてもらいたかったのですが、彼は否定的な考えからなかなか抜け出せないようでした。 「もうこうなったら、会社を辞めて、迷惑をかけたと謝罪をしたいと思います」 医師は別の切り口を探して、こう語りかけます。 「ところで、実際のところ、会社はあなたの失敗でどれほど損害を被ったのでしょうか?」 「まあ、私の失敗した部分に関しては被害があったでしょう。どのぐらいの金額かはわかりませんけど……」 「でも、会社全体から見ると大したことはないのでしょう? あなただって損害額がわからないんだから、ほかの人も会社がどれだけ損害を受けたかなんて考えていないでしょう。 それをあなたは、さも重大事のように考えているんです。 一人で勝手に空回りしているんです。 そんな考え方をしていると、ますますうつ病は重くなりますよ。 今のあなたに必要なのは、自分の失敗を現実的に見極めること、そして何事に対しても過大評価しすぎないことです」 「うーん……」 医師は彼が外来で来る度に、こうした話を手を変え品を変えて繰り返しました。うつ病の患者さんは、自分の認識のゆがみを指摘され、ハッと気が付くということはまずあり得ません。重く垂れ込めた靄(もや)が徐々に晴れていくように、心理療法を重ねる度に少しずつ考え方が変わって行くものだそうです。 彼もそうして認知のゆがみを徐々に修正し、自分の失敗を限定的に考えられるようになって、会社に復帰することができたということです。 |
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Bright
トルーライト(コスモブライト Cosmo
Bright)の秘密
| 2002FIFA
World Cup Korea/Japan 全国のスタジアムのプレスルーム(日本国内)に、Bright
Light Energy HF3304 が1台ずつ配置され、海外特派員やReporting
Staffのみなさんの健康管理に活躍しました。“時差ボケ解消” “交替勤務のリズム障害予防”でお役に立ちました! (^o^)/~ |
光療法補助具…低照度光漸増照射覚醒/漸減消灯入眠補助装置
SunRise Clock『サンライズクロック』ディジタル仕様の新製品
EZ Wake(イージーウェイク)

光パワーで花粉症に勝つ!
バイオノーズ(Bio
Nase)
2004
Winter…冬の新商品

シリーズ最上位機
エクセレント メドマー
EXM-12000
1本のホースで8気室を加圧/除圧する革新の手もみごこち
| (注)当ホームページ内のナスビの画像“Annasubi”シリーズの全作品は Poesieの娘Annaのオリジナル作品につき、一切不許複製・転載です。 Copyright Anna 2002-2008 |
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