最近増えた 「ちょっとおかしな人」 との付き合い方
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パーソナリティー障害
あれこれ
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うつ病あれこれ(2)では、ストレスやうつ病が原因となって現れる「からだの病気」について説明しました。 うつ病あれこれ(3)では、「うつ病」をさらに正しく理解するために、「うつ病」と関係するさまざまな「精神疾患」について解説し ました。 その中からここでは、■5. 人格の偏りが招く「パーソナリティー障害」(人格障害)をもう少し掘り下げてみることにします。 |
●何を考えているのかよくわからない ●まわりの人と馴染もうとしない ●訳も無く怒り出す ●他人を利用ばかりしている ●変な趣味や好みを持っている ●自分の自慢ばかりしている ●すぐばれるウソを平気でつく ●こちらの話を聞いてくれない ●意地が悪い ●潔癖すぎる ●融通が利かない ●変なオカルトを信じきっている ●態度や意見がころころ変わる ●自分では何も決断できない ●一緒に喜んだり悲しんだりしてくれない ●いつも責任転嫁する ●出身をひけらかす ●嫉妬深い ●疑り深い ●すぐ暴力をふるう ●動物を虐待する ●極端な性的嗜好異常を持っている ●「玉の輿」願望にとりつかれている ●身なりをまったく気にしない ●金銭的にけちくさい ●自分の仕事の仕方を周りに強要する ●部下に仕事を任せない ●いつも自分が中心にいないと機嫌が悪い ●他人の親切を素直に受け入れない ●ありもしない悪口を言いふらす ●自分を特別扱いにすることを要求する … … … |
■ どうでしょう? 職場でも学校でも家庭でも、こんなタイプの人が自分のまわりにいたら、誰だってうんざりするでしょうし、付き合いにくいと思うに違いありません。 でも、よくよく考えてみると、これほどひどくはないかもしれませんが、あなたの身の回りにも思い当たる顔が具体的に浮かんできませんか?そして、このような言動の持ち主が最近はとみに増えているような気がしませんか? このページの主旨は、アメリカ精神医学会の作成した『統計的診断基準マニュアル(DSM)』と呼ばれる診断基準に示されている「パーソナリティー障害」(Personality Disorder)(日本語では「人格障害」)に分類される、そうした思考・行動パターンを持つ、あなたにとって「付き合いにくい人」 「変わった人」 「困った人」 「ちょっとおかしな人」の精神構造を知り、いざそうした人たちと関わりを持たざるを得なくなったときの付き合い方を、具体的なケースに即して考えていこうとするものです。現代日本の社会現象として、日毎に蔓延している一種の症候群と言っても良いかもしれません。 今の日本の社会の居心地の悪さ、希薄でぎすぎすした人間関係、出口の見えない逼塞感などが相俟って、そうしたものを生み出しやすい培養基となっているのでしょう。 病的なレベルまではいかなくても、対人関係において他人との適切な「距離」が取れずに、いたずらに利己的になり、また攻撃性を露わにするような、まわりの人間からすれば、「付き合いにくい人」 「変わった人」 「困った人」 「ちょっとおかしな人」は確実に増えています。そして、そんな人たちとの人間関係に振り回されて、それまで順調だった人生が一転してしまった人や、煩わしさのあまりに精神的に変調を来たした人の例も数多く見てきました。 できることなら、円満で円滑な人間関係を持ちたい、人間関係のトラブルは避けたい----これは誰しも願うことです。しかし、いざそうした人たちと関わりを持たざるを得なくなったとき、まずはあなた自身の考え方そのものも変えなければならない部分もあるようです。 『心の病』について語ることに、日本ではまだまだ誤解と偏見があります。それは統合失調症(昔は『精神分裂病』と称してました)や抑うつ症(『うつ病』『躁うつ病』)といった、いわゆる精神病に対してだけではありません。 普通に社会生活を営みながら、時として神経症や心身症、あるいは人格障害がもととなって、自分自身が精神的におかしくなるだけでなく、そのことによって周りとの人間関係がうまくいかない人たちに対しても、なぜそうなってしまうのか、どういう距離をとって付き合えばいいのか? などといった点について、オープンに語られることがあまりなかったのです。 見て見ぬふり、さわらぬ神に祟りなし。おそらくこんなふうに考えている人が圧倒的に多いのではないでしょうか。誰にでもわかる言葉でこうした問題を語って来なかった精神科医たちにも問題はあるでしょう。何だかよくわからないところに思い込みや誤解、偏見が生まれるのは、ある意味では当然かも知れません。 しかし、これからの日本の社会は、いよいよ『心のサバイバル』時代に入って行かざるを得ません。『心の病』がもとになって、周囲の人たちとうまく「距離」を取れなくなってしまう人たちが、これまで以上に多くなることが容易に想像されます。 そうなると、『心の病』についてきちんと理解したうえで、不幸にしてそうした病を得てしまった人、あるいは、そこまでいかなくても、あなたにとって「付き合いにくい人」 「変わった人」 「困った人」 「ちょっとおかしな人」たちと、きちんとした「距離」をとって付き合っていくことが必要となります。さもなければ、対人関係におけるトラブルによって、あなた自身の心の健康が失われてしまうことだってあり得ます。 身も蓋(ふた)も無い言い方に聞こえるかも知れませんが、最終的には自分の心の健康は誰も守ってくれない、自分自身で守るしかない----そう考えたほうがいいのです。医療の専門家も含め、 まわりができることは、実はほんのちょっとしたお手伝い程度のことだけかもしれないのですから。 ひょっとしたらあなただって、いまでも周りの人から「ちょっとおかしな人」と思われているかも知れません。あるいは、今はそうでなくても、ある日を境にそうした存在に変わる可能性だってあるのです。 例えば、職場で「お局さま」的な先輩にいじめられていて、周りから同情を集めていたOLが、先輩がいなくなった途端に豹変し、自分が「お局さま」的存在になって先輩と同じことをやり始める----そんなことがよくあるからです。『心のサバイバル』時代と言ったのは、そういうことでもあるのです。 「人のふり見て我がふり直せ」と昔の人はいいました。他者とは自分を映す鏡だということです。人間誰しも、自分の心の中にあるマイナスの要素を認めたがらないものです。たまたま誰かから指摘されたりしたときに、むきになって否定したり、それがもとで友人関係にひびが入ることもあります。 あなたは自分では気付かないまま家族や友人、部下、同僚などに不快な思いをさせたり、迷惑をかけていないかと問われたときに、自信をもって「NO」と言えますか? 少なくとも私自身にはその自信がありません。 こう考えてみてはどうでしょう。あなたにとっての、「付き合いにくい人」 「変わった人」 「困った人」 「ちょっとおかしな人」たちの存在は、あなた以外の人があなたに対して思っている(かもしれない)「付き合いにくい」部分、「ちょっとおかしな」部分に気付くきっかけを与えてくれるものと。 そう、「人のふり見て我が心を知る」わけです。 |
「パーソナリティー障害」の分類
(分類表はうつ病あれこれ(3)■5. 人格の偏りが招く「パーソナリティー障害」より)
● 症状によって10に分類される「パーソナリティー障害」 「パーソナリティー障害」の特徴である「パーソナリティーのかたより」は、生まれつきの素質が影響していたり、成長していく過程において、かたよりのパターンが 固まってしまったものだと考えられます。しかし、そのメカニズムはまだ明らかになっていません。そのため、現在の「パーソナリティー障害」の診断は、症状ごとに分類されています。 一方で、各人の「パーソナリティーのかたより」とは、本人にとってはごく当たり前なものですから、患者さん自身がこの「パーソナリティーの問題」を認識するのは非常に困難です。そのため、医師や研究者が行った人格障害の診断には、かなりのばらつきがあることが知られています。 「パーソナリティー障害」は特徴別に、計10種類に分けられていますが、大まかに3つのグループ、A群、B群、C群に分類して、その特徴を解説します。 ************************ ■A群:-----奇妙な行動や考え方をする 「統合失調症」に よく似た傾向を持っています。 統合失調症ほどはっきりとした症状はありませんが、自閉的で、妄想を抱きやすく、 奇妙で風変わりな傾向があります。 A群には、次の3つの「パーソナリティー障害」が含まれます。 (1)【妄想性パーソナリティー障害】 他人の言動などを《悪意のあるもの》と解釈するといった、不信と疑い深さを 持つことが特徴です。 (2)【統合失調症質パーソナリティー障害】 内向的で、引きこもり・孤独を好み、感情を表に出したりするようなことはなく、 よそよそしい振る舞いをします。 「人間」に興味がなく、そのため社会から孤立 します。 (3)【統合失調症型パーソナリティー障害】 魔術的思考や千里眼を信じるなど、迷信的な思い込みを持ち、奇妙な考え方 や行動をします。 ■B群:-----感情が不安定で激しい 感情的な混乱の激しい「パーソナリティー障害」です。芝居がかった言動が多く、 情緒的で、移り気にみえる場合が少なくありません。また、ストレスにかなり弱い傾向 があります。 B群には、次の4つの「パーソナリティー障害」が含まれます。 (4)【反社会性パーソナリティー障害】 反社会的な言動や、行き過ぎた場合は犯罪行動をとるケースもあります。 物質的な利益や個人的満足のために他人を利用し、人の心理を読んで操作 するのがうまく、良心に乏しいので、ほとんど罪悪感を感じることがありません。 (5)【境界性パーソナリティー障害】 非常に衝動的で、感情の起伏が激しく、そのため対人関係がいつも不安定 です。その結果として、衝動的な暴力や迷惑行為、性的誘惑などを繰り返したり、 自殺を企てたり、自分を傷つけたりする行動を続けます。 (6)【演技性パーソナリティー障害】 常に周囲の人の関心を集め、自分が中心でいないと気がすみません。 外見を気にし、芝居がかった態度を取ります。 (7)【自己愛性パーソナリティー障害】 自分は特別なものだと感じ、大きな優越感を持っています。そのため、さまざま な対人関係の障害が出てきます。自分のことを非難されることにはとても耐える ことができず、そのため、心がふさいで不快な気分になる抑うつ状態に陥ること もあります。 ■C群:-----不安や恐怖感が強い 不安やおびえ、引きこもりなどを特徴とする「パーソナリティー障害」です。 周りの人の自分に対する評価や視線などが非常にストレスになる傾向があります。 C群には、次の3つの「パーソナリティー障害」が含まれます。 (8)【回避性パーソナリティー障害】 他人からの拒絶に対して極端に敏感で、失敗したり失望させられるのを恐れて 対人関係を築くとか、何か新しいことを始めることなどをためらいます。 (9)【依存性パーソナリティー障害】 自分の生活全般において世話をされたいという過剰な欲求があり、そのため に並外れて従順で、とても受身的です。常に誰かがそばにいることを望み、一人 になると、とたんに不安に駆られ、心がふさいで抑うつ状態に陥ります。 (10)【強迫性パーソナリティー障害】 完全主義で、秩序やルールにとらわれ過ぎるため、柔軟性に欠け、適応性が ないのが特徴です。 |
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「パーソナリティー障害」の
診断基準 と 障害の様子
分類別に クリックして、先へ
| (1)【妄想性パーソナリティー障害】
の診断基準 と 障害の様子 (4)【反社会性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 (5)【境界性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 (6)【演技性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 (7)【自己愛性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 (8)【回避性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 (9)【依存性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 (10)【強迫性パーソナリティー障害】 の診断基準 と 障害の様子 |
非常に疑い深く、不信感を抱きやすく、警戒心が強い。日常の出来事や他人の 態度を、自分に対する悪意の現れとみなす特徴があり、次の4つ(以上)で示さ れる。 ■1. 十分な根拠も無いのに、他人が利用する、だます、危害を加える という疑いを持つ。 ■2. 友人や仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。 ■3. 秘密主義。情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れ から、他人に秘密を打ち明けたがらない。 ■4. 悪意の無い言葉や出来事でも、自分をけなしたり、脅したりする 意味が隠されていると思ってしまう。 ◆なんでもないことでもすべて、自分に関係付けてしまう。まわりは雑談しているだけ なのに、それをとらえて「自分の悪口を言っている」と強引に自分と関係付けてしまう。 他人の笑いや視線に対する「笑われている」「見られている」という意識もおなじ。 ■5. 恨みを抱き続ける。侮辱されたこと、傷つけられたこと、軽蔑された ことなどを決して忘れない。 ◆かなり以前に人前でからかわれて以来、その人とは口をきこうともしない。 まわりが見かねて 「いい加減で仲直りしたら」と言っても、昔のことを持ち出して 「信用できない」と言う。 ■6. 自分に対する攻撃に対しては、過敏かつ執拗に反撃する。 ■7. 配偶者や性的パートナーの貞節に対して、 道理に合わない疑いを持つ。 |
★★★妄想性パーソナリティー障害の様子: ● 妄想性の強い人は、他人や自分をこう考えている: 1..私は他人を信用できない。 2..他人は表面はいくら取り繕っても、隠された動機を持っている。 3..いつも警戒していないと、他人は私を利用したり操ろうとするに違いない。 4..だから私はいつも警戒を怠ってはならない。 5..他人を信用することは、決して自分のプラスにならない。 6..他人が親切にしてくれるのは、私を利用したり食い物にしようとする意図によるものかもしれない。 7..私が隙を見せれば、他人は私を利用しようとするだろう。 8..たいていの場合、他人は友好的ではない。 9..他人は意図的に私を蔑(さげす)もうとするに違いない。 10..他人は意図的に私を困らせたがっている。 11..私を不当に扱ってもいいなどと他人が思うままにしておくと、私はとんでもないトラブルに巻き込まれるだろう。 12..他人が私について何かを知ったら、彼らはそれを私に不利になるように利用するだろう。 13..他人がAだと言った時には、しばしばBを意味していることがある。 14..身近な人が不実だったり、裏切ったりすることがあるだろう。 . |
● 60歳男性。定年の一年ほど前から妻が浮気をしているのではないかと疑うようになりました。 きっかけは本人が友人と酒を飲んだとき、たまたま妻の誕生日の話題になり、その後、友人から妻宛に誕生日プレゼントが送られてきたことからだといいます。 定年後、嫉妬妄想はひどくなり、現在では妻が外出から帰宅すると、ボディチェックしなければ納得しなくなっているということで、奥さんの悩みは尽きません。 高齢化社会を迎えた今、こういうケースは確実に増えています。この場合はまず、嫉妬妄想というのは初老期の男性に出やすいということを理解する必要があります。そして、みなさん頑固で説明困難というのも特徴です。とほほ、、、、 ですから、思いあぐねた家族の方から相談を受けても、実際に本人から事情を聞きだしたり専門家の治療を受けるところまでは話が進まないケースが多いわけです。なにしろ、本人は「自分が思っていることが正しい」と思い込んでいるわけですから。 それともう一つ、本人が自信をなくしていて、奥さんをつなぎとめておくものがないことから、こうした行為に走るケースが多いようです。 とくに、60歳前後というのは、男性としても家族の長としても、社会人としても、その役割が怪しくなってくる時期です。奥さんに対してもある程度の支配的な感情がだんだん保てなくなってくる自信の喪失感とも関係してきます。このまま嫉妬妄想が拡大していけば、暴走が止められなくなってしまいます。もしそうなれば、専門治療の対象となりますね。 70歳や80歳のお年寄りのなかにも、奥さんが絶対に浮気をしていると言い張る人がいます。息子や娘など、家族の方は、それを聞いて笑うわけですが、おじいちゃんは、みんなが自分の妻に対して色目を使って誘惑しているとか、間違いなく浮気をしているなどと信じ込んでいるのです。 定年前後は抑うつ病や嫉妬妄想が出やすい時期だと言われています。ライフサイクルの中で社会的な役割も変わってきますし、肉体的な衰えや病気、子どもの独立などの要因が重なって、喪失感やうつうつとした気分が、嫉妬妄想や貧困妄想へとつながることがあるのです。 どんなに立派な人であっても、老年期に入って社会の第一線から退いたり、それまでの人間関係の中から、ひとりまたひとりと消えていったりすると、自分とは何かというアイデンティティに関わる問題を強烈に突きつけられてしまうわけです。ましてや、それが自分にとってのキーパーソン《:その人にとってかけがえのない存在、信頼できる存在、強い絆で結ばれている存在=家族(親、子ども、配偶者)、友人、恋人、先輩、同僚、先生など》だったりすれば、なおさらです。 これをお読みになっているあなた、もしかしたら、自分だったらこうはならないよ、と思われるかもしれません。では、おたずねしましょう。 あなたは将来、もし仕事や社会的地位、財産などが失われたら、自分に残される頼れるものは何だと思いますか? 家庭ですか? 配偶者ですか? 家族ですか? それが家庭であれ何であれ、何かひとつのものに頼ろうとすると、いざそれさえも失ったときには、とてつもなく大きな反動を生むものです。 そうならないためには、価値観を多様化させ、これが駄目ならあれ、という具合に、多少は「浮気性」と揶揄されるぐらいの多くの関心を持って生活することです。 趣味を持つこともそのひとつです。こういうと、趣味なんか年をとってからでいいと思われる方がいるかもしれませんが、付け焼刃ではとうてい頼りになる柱にはなりません。若いうちから少しずつ育てていくことです。「これがあれば生きていける」、「これだけは。。。」と思えるものでなければ、心の支えにはなりにくいのです。 |
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■4.
【反社会性パーソナリティー障害】
の診断基準
反社会的な行動が15歳以前から始まり、18歳を超えてもそれが続いていて、 他人の権利を無視・侵害する行動として現れる。次の3つ(以上)で示される。 ■1. 法を守るという社会的規範に従うことができない。 それは逮捕の根拠となる行為を繰り返すことで示される。 ■2. 人をだまし、ウソを繰り返す傾向。個人的利益や快楽のために、 偽名を使ったり人をだましたりすることを繰り返す。 ■3. 衝動的で先々の計画を立てられない。 ■4. 攻撃的で短気。フラストレーションに対する耐性が非常に低く、 喧嘩や暴力沙汰を繰り返す。 ■5. 例えば暴走族のように、自分、他人を問わず身体的安全を無視する。 ■6. 一貫して無責任。仕事が長続きしない、経済的な支払い義務を 果たさない。 ◆借金は踏み倒せばいいと考えているため、どこからでも借りてくる人。 最後は自己破産があるとうそぶく。 ■7. 良心の呵責が欠如している。人(や動物)を傷つけたり、虐待したり、 物を盗んだりすることに躊躇するところがなく、却って正当化すること もある。 ◆ボウガンやエアガンで近所の犬猫を射ち、注意されても 「庭を糞で汚されるから当然の権利だ」と開き直る人。 |
★★★反社会性パーソナリティー障害の様子: ● 最近は、会社や学校、家庭でのさまざまな人間関係のトラブルが急増しています。 でも、考えるまでもありませんが、いつの時代でも人間は悩み多き存在ですし、無人島に一人暮らしならいざ知らず、複数の人間がいれば人間関係のトラブルはつきものです。では、なぜここ数年の間に、対人関係においてトラブルを訴える人たちが急速に増えてきたのでしょうか? それは、現代社会において共通の「規範」が失われてしまったことと大きく関係しています。規範といっても、なにも難しい話ではありません。簡単に言えば、ある集団に属する個人が、「こう生きるべき」とか「こうあるべき」とかを暗黙のうちに決める生き方のモデルやモラルと考えればいいでしょう。それが集団と個人、個人と個人の関係を安定的に保つ原動力になっていたわけです。 こうした規範意識が世代から世代に受け継がれ、私たちはそれに支えられた社会のなかで、それに反発したり賛同したりして、自分対社会、自己対他者との関係がどうあればいいかという生き方のノウハウを学んできたわけです。 反発や賛同の対象が政治であったり、会社や学校であったり、あるいは家族であったり友人や上司・同僚であったりして、そのなかで他者を傷つけたり傷つけられたりすることで心の痛みを知ったり、相手の立場に立ってものを考えることの大切さを覚えながら、自分自身の自我を形成することができたのです。それは、成熟した大人になるための通過儀礼(イニシエーション)でもあったのです。 ところが今の時代は、どうでしょう? たとえば、あらゆる場面で人間関係が希薄になっていることは、わざわざ指摘するまでもないでしょう。 会社のために家庭や自分の楽しみをすべて犠牲にして働いてきたのに、ある日突然、リストラの対象にされてしまう。それも、昨日まで机を並べていた同僚が人事担当に配属されて、彼の口から解雇を通告される----そんなことが、いまでは日常茶飯事----。 また、電車の中で物を食べたり、化粧をしたりする若者の姿が目立ちます。なかには、混んだ電車の中や街頭で平気で抱き合ったりキスをしたりする若者もいます。こんなシーンは、ちょっと前までの日本だったら「恥知らず」のひとことで周りから大顰蹙を買うのがおちでした。躾(しつけ)のやかましい人が見たら、卒倒したかもしれません。これまでの規範意識からすれば、およそ信じられないことがまかり通っているわけです。 さらに、本来なら社会の規範意識を代表・代弁すべき政治家、裁判官、検事、警察官、教師などの金や性をめぐる破廉恥な事件が跡を絶たないわけですから、「こう生きるのが正しい」とか、「こうするべきだ」などといった、自我を確立する上でのモデルやサンプルを見つけようとしても、なかなかうまくいかなくても不思議ではないのです。 例えば、かつて新潟県警の刑事が、現職警察官としては初めてストーカー規制法違反で書類送検されるという事件がありました。私たちはこの手の事件にはもう慣れっこになっていて、「ああ、またか」と思われた方も多いはずです。でも、本来ならストーカーを取り締まるべき役割にある刑事課の警察官が、ことの是非を忘れてストーカー行為に走ってしまう。そこには、何らかの人格的・性格的な問題、それも「反社会性パーソナリティー障害」の問題を疑わざるを得ません。 最近は、翻訳本がブームとなっていますが、これなどは、こうした日本の現状を見るにつけ、それに代わる「何か」を探し求めている日本人を象徴しているような気がしてなりません。 |
● もうひとつ忘れてならないことは、《キーパーソン》の存在です。 家族(親、子ども、配偶者)、友人、恋人、先輩、同僚、先生……誰でもいいんです。 その人にとってかけがえのない存在、信頼できる存在、強い絆で結ばれている存在、お互いに強い影響力を及ぼすことのできる存在、そうした人のことを《キーパーソン》と言うわけです。 あなたはいかがですか? あなたにとっての《キーパーソン》がすぐに思い浮かびますか? 最近の高校生には、メル友は100人以上いるのに、直接会って親身になって相談に乗ってくれる友人がいないなんて人も珍しくないそうですが、薄く広くという人間関係のスタンスからは、《キーパーソン》が生まれてくるはずもありません。もっとも、こんなことはわざわざ私が言うまでもないことです。 職場や学校や家庭で人間関係に悩んだり困ったりしたときに、気安く相談に乗ってくれるような人がいれば、一人で悶々として、精神的におかしくなったり、問題をこじらせたりすることもないからです。 「大変だったね」という共感の言葉ひとつを投げかけられて、破局の淵からUターンすることが出来た人を、私は何人も知っています。さらに、《キーパーソン》の有無によって、さまざまな精神疾患からの回復にも明らかに違いがあるのです。 *********** こうした、よって立つべき規範意識を見失い、希薄な人間関係のなかで形成される《私》とは、どんなものになるのでしょう。 ひとことで言えば、これまた希薄なものにならざるを得ません。本来、自我の確立という観点に立てば、社会や他者(親、友人、その他)の存在は、自分を映す鏡のようなものです。 それらのものに自分をぶつけてみて、反射して返ってくる像を自分なりに修正しながら出来上がっていくもの、それを自我と言ってもいいでしょう。「人のふり見て我がふり直せ」とはよく言ったものです。 ところが、社会や他者との関係が希薄になっていれば、そうは行きません。自分の中に結ぶ像はあやふやになり、すきまだらけで脆弱なものにならざるを得ません。 すきまだらけで不安定な自我。それを埋めるものが、自分のきわめて身近にあり、自由にアクセスできる「情報」です。それがテレビアニメやゲームであったり、インターネットに氾濫する情報であったりするわけですが、要は何でもいいんです。自分を仮託できればいいわけですから。 「これがなければ死んじゃう、生きていけない」と言う女の子にとっての携帯電話の存在は、大人が理解できようとできまいと、彼女にとっては自分を支えるための必須アイテムなのです。しかし、ここに落とし穴があります。 ************ 最近の若い人に人気のサイトの中には、驚くようなところが随分とあります。そこには、びっくりするほど、言葉の暴力、そして性的暴力を含む肉体的な暴力のオンパレードのところが少なくありません。 何の意味も脈絡もない殺戮シーンや異常なセックス場面を四六時中、見続けるような環境に置かれたとしたら、いったい人の意識はどのように形成されるでしょうか? 「人を刺したらどういう傷ができるんだろう?」 「人を殺して相手の反応を見てみたい」などという妄想的な欲望に取り憑かれる人間が出てきたり、相手に性的な嗜好異常を強要しても構わないと思い込む人間が生まれたとしても、決して不思議ではありませんね。そう思わせられるほどの驚愕の異常さに満ちていると思います。 知り合いの精神科医から聞いた話です。 性に目覚めたときから、男性の女性に対する支配欲を満足させるようなシーンが中心のAVビデオを好んで見続けてきた男性のケースです。 女性に対して引っ込み思案というわけではなかったのですが、いざ男と女の関係になろうかというときに、なんとなく引いてしまうことが多く、もっぱら性のはけ口はソープランドの求めていました。 そんな彼が27歳を過ぎたある日、半年ぐらい付き合ってきた彼女と初めてベッドインとなったときのことです。初めて自分が主導権を握って性行為に及んだ彼は、興奮のあまりに夢中になって、AVビデオで「疑似体験」したさまざまなシ−ンを彼女に求めました。 結果は言うまでもないでしょう。途中で彼を拒否した彼女は、ひと言も発さずに部屋を飛び出し、二度と彼の前には姿を見せませんでした。 今の日本では、どこへ行っても性にまつわる情報が氾濫しています。しかし、中身は玉石混淆で、誰もが正しい知識を身に付けているはずもありません。しかも、問題の性格上、おいそれとまわりの人に相談するわけにもいきません。恋人や配偶者との性的関係がうまくいかずに一人で悩んだあげく、精神科クリニックを訪れる人が、今確実に増えています。 |
★★★問題行動を起こす青少年の裏側にあるもの: ● 注意力散漫で乱暴な「注意欠陥/多動性障害」 (ADHD) 問題を起こす子というのは、ある日突然に暴走を始めるわけではありません。家族や学校の担任が注意を怠らずに見ていれば、早い時期から何らかのサインが出ているはずです。そのサインをキャッチして適切に対処できれば、大事に至ることは回避され、子ども本人も救われるのです。 その典型の一つが「注意欠陥/多動性障害」 (ADHD)と呼ばれる症状です。この症状の特徴としては、(1)しきりに動き回る(多動性)、(2)注意力が散漫である、(3)非常に攻撃心が強い、の3点が指摘されます。 発症そのものは、生後6ヶ月頃から見られます。家にいるときは割合と穏やかで、テレビや本などに結構集中することができますが、外へ出て集団の中に入ると、途端に注意力が散漫でじっとしていられなくなります。そのため小学校に入ってから、担任の教師に 『この子は落ち着きがない』 『周囲に迷惑をかけるので困っている』 などと指摘されて、初めて気付くことが多いのです。 小学生の頃から、 ・他人や動物に暴力を振るう、 ・家から金を持ち出したり、お店で万引きをするなど、盗みを働く、 ・ウソをついて他人をだます など、後述する「行為障害」が見られることも少なくありません。 さらに、重症の「行為障害」の約半数は、やがて犯罪的な行為を繰り返す「反社会性パーソナリティー障害」になると言われています。 もちろん、「注意欠陥/多動性障害」がそのまま「行為障害」や「反社会性パーソナリティー障害」になるわけではありませんが、早期に治療を施して、その後の経過を注意深く観察するに越したことはありません。 |
● 問題児も適切な治療で治る M医師が扱った実例です。中学2年生の男の子Sは、小学校の教師から「落ち着きがない」と再三指摘されていましたが 、中学校に入ってからはその傾向がますますひどくなり、じっと座って授業を受けていることができなくなってしまいました。 授業中に歩き回って教師に注意されても一向に改まる気配はなく、また、家庭内暴力も見られ、近所の子と喧嘩したり、万引きを繰り返して問題になっていました。 困り果てた家族が、その少年を精神科医のM医師のところへ連れていき相談しました。M医師はS少年を「注意欠陥/多動性障害」と診断し、早速入院治療することにしました。入院によって刺激を受け、S少年は落ち着くことができましたが、病院内でも初対面の人と接したり、初めての場所に足を踏み入れると、ひどく緊張します。 心理療法では、行動療法的なプログラムを計画しました。つまり、「多動」 「集中力の欠陥」 「暴力性」 という3つの側面から行動をチェックし、抑制できたときはたっぷりと誉め、抑制できなかったときはそのことを指摘し、場合によっては保護室に入ってもらった。すなわち個室に隔離するわけです。これは刺激の少ない環境で行動の破綻を防いでもらうのです。 この行動療法と並行して行った薬物療法では、抗てんかん薬の「カルバマゼピン」を処方して攻撃性を抑えるようにしました。通常は抗精神病薬や抗うつ剤が効果があると言われていますが、M医師の治療経験では確実な効果があった例が一人もおらず、抗精神病薬の「ハロペリドール」や抗てんかん薬の「カルバマゼピン」のほうが効果があったからだそうです。それでも病院の壁を3回も壊すような乱暴行為を働き、ささいなことからほかの入院患者と大喧嘩したこともありました。 それでも次第に攻撃性は影を潜め、やがて退院できることに。 学校を無事に卒業してからは施設のそばにアパートを借り、施設で働きながら、彼がなついていた祖母と暮らし始めました。その後はほとんど問題なく過ごし、時折M医師を訪ねてきては、友達とやっているロックバンドのために書いた詩を恥ずかしそうに見せてくれるようにまでなったそうです。 この「注意欠陥/多動性障害」は慢性的なもので、小学生の頃に目立ち始め、中学生になるといっそう激しくなりますが、多くの例で20歳までにはかなり落ち着いてきます。とは言え、「行為障害」や「反社会性パーソナリティー障害」に移行して犯罪に手を染めるケースも少なくないので、決して軽視はできません。 |
● 問題行動を繰り返す「行為障害」 中高校生ぐらいの年頃の子どもが、人や動物に暴力を振るう、盗みを働く、ウソをつく、規則を平気で破るなど、問題行動を繰り返すというのが「行為障害」です。アメリカでは、少年の6〜16%、少女の2〜9%に見られると言われています。かなり出現率が高く、男子に多いのが特徴です。 この「行為障害」は、「注意欠陥/多動性障害」から移行したり、あるいは両方を併せ持っていることも少なくありません。家庭環境を見ると、両親の不仲や離婚、児童虐待、親の厳しすぎるしつけ、親自身が「反社会性パーソナリティー障害」やアルコール依存症や薬物依存症のケースなど、混沌とした家庭状況であることがほとんどですね。 これまた、M医師の扱った実例の紹介。中学1年生の男の子Kは、学校で人をいじめたり、よく喧嘩をし、ときにはナイフで人を脅かすこともあるので、全校生徒から恐れられていました。また、しばしば人の物を壊したり、ウソをついたり、動物を殺すこともありました。 困った母親がK少年をM医師のところへ連れていきます。母親の話を聞いたM医師は、典型的な「行為障害」のケースと診断し、少年に入院してもらいました。 「行為障害」には多彩な治療を組み合わせる必要があり、「遊戯療法」「集団療法」「社会技能訓練」などを施しました。 ◆ 「遊戯療法」というのは、文字通り 《遊び》 を通して治療するものです。子どもは大人と違って、言葉で自分を表現したり、自省したりすることが難しいので、治療者が子どもと一緒に遊ぶことで、子どものイメージを育てたり修正したり、心を癒そうとするのです。 ◆ 「集団療法」(グループ・セラピー)は、通常は7〜20人で行い、精神科医や臨床心理士のもとで話し合ったり、絵を描いてその感想を語り合うものです。 ◆ 「社会技能訓練」というのは、社会生活を身に付けるために、日常生活で遭遇する場面を自分で演じたり、ほかの人が演じるのを観察するというものです。 また、「行為障害」は家族に問題があるために、子どもの心がすさんでいる場合も多いので、家族も一緒にカウンセリングを受ける「家族療法」も行いました。 「薬物療法」では、抗精神病薬で攻撃性を減らす「ハロペリドール」を用い、気分の変動が激しいときは感情調整薬の「炭酸リチウム」も効果的です。 このような治療を組み合わせて改善を図ったところ、K少年は6ヶ月後には退院できるほどに落ち着いた。しかし、「行為障害」の傾向は完全には抜けないため、中学校を卒業した後は、施設的な高校に進学することになりました。 |
● 凶悪犯罪に走りやすい「反社会性パーソナリティー障害」 先に述べたように、「注意欠陥/多動性障害」は「行為障害」に移行したり、併せ持つことが多く、「行為障害」の約半数は「反社会性パーソナリティー障害」に移行すると言われます。 「反社会性パーソナリティー障害」の特徴は、犯罪行動を頻繁に繰り返すことで、アメリカの刑務所では、「反社会性パーソナリティー障害」は受刑者の50〜75%に見られるという報告もあります。 「反社会性パーソナリティー障害」の人は、犯罪的な行動を繰り返すものの、良心に乏しいので罪悪感を感じることがなく、不安やうつ状態になることもありません。人を愛する能力に欠けているので、人の気持ちを理解したり、同情する優しさも不足しています。 その一方で、相手の顔色を見ながらウソをついたり、言うことをしょっちゅう変えたりして、人を巧みに操作することには長けている。------そのため、表面上は魅力的に見えることが多々あります。なんとも困った存在といえます。 「反社会性パーソナリティー障害」の診断基準は、年齢的に《18歳以上》となっていますが、現実には、15歳以前からウソをつく、万引きをする、暴力を振るう、動物を虐待するなどの「行為障害」の特徴が現れているケースが多いのです。 ******************* 同じくM医師の扱った実例から、22歳の女性のケース。 彼女の父親はアメリカ人で弁護士だったが、彼女が10歳のときにアメリカに帰国してそのまま日本に戻ってこなかった。 彼女は父親を愛していたがゆえに、見捨てられたと思い悩み、その頃から反社会的な行動が見られるようになった。 万引きはスリルを味わうためであり、家で母親のお金を盗んだり、街で女性のハンドバッグをひったくることもたびたびだった。性的にも男性遍歴を重ね、ときには売春もしていた。覚醒剤やシンナーを使い、ときには乱交パーティー。。。。 警察には二度捕まり、少年院にも二回行ったが、やがて22歳となり、次に捕まれば刑務所に入るのは確実だった。それでも覚醒剤や売春は相変わらずやめる気配が無く、母親のもとにはめったに帰らなかった。 その母親が思い余って、彼女をM医師のところに連れて行った。M医師は「反社会性パーソナリティー障害」と診断して、即入院させた。 「反社会性パーソナリティー障害」を外来で治療することにはほとんど意味がありません。そもそも罪悪感を持っていないし、失敗から学ぶ姿勢も持ち合わせていないからです。従って、専門の医療施設に入院させて、おのれの問題に直面させるほかないのです。 心理療法は、真剣勝負のつもりで徹底的に対応する必要があります。「反社会性パーソナリティー障害」の人は相手の顔色を見ますから、こちらがいい加減な気持ちでいると即座に見透かされ、治療効果が上がりません。 「集団療法」(グループ・セラピー)も効果的ですが、条件があります。他の参加メンバーはすでに「反社会性パーソナリティー障害」的な傾向から離脱していることです。彼らが十分に離脱していないと、グループで集まり、かえって反社会的な行動を促進して逆方向に向かってしまうからです。 「薬物療法」では、抗精神薬を使うことが多いが、「注意欠陥/多動性障害」の傾向が認められる場合は「リタリン」や抗てんかん薬の「カルバマゼピン」を用いることもあります。 彼女にはとくに心理療法を中心に治療を進めたが、やがてようやく「こんな無茶を続けていても自分は救われない」と考えるようになった。 彼女は、これまでやれることをやりつくして壁にぶつかり、結局は自分を救えるのは自分しかいないということを理解して、やっと、自分の人生を歩き直そうという気になってくれたのです。その後、暫くして彼女は退院し、老人介護施設で働き始めたということです。 |
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■5.
【境界性パーソナリティー障害】
の診断基準
通称「ボーダーライン」。対人関係、気分、自己像の不安定さ、衝動性の強さを 特徴とする。成人期の早いうちに始まり、以下の5つ(以上)で示される。 ■1. 極端な分離不安。現実または想像のなかで、親しい人から見捨て られることを極度に恐れる。 ◆理性ではわかっていても、想像の中で疑念が生まれてしまい、はっきりした根拠 がないまま相手の感情を疑ってしまう。 ◆自分への愛情の向けられ方に過敏な人。愛し方が不十分だと相手を責め立て、 愛情の確認を求める。 ◆愛情欲求が強いために、愛情対象が自分から去ろうとすると、異常なほどの努力 や怒りを見せる。 ■2. 両極端(理想化とこきおろし)を揺れ動く他人への評価。 ◆「好きか嫌いか」が対人関係の評価基準になっていて、中間が無い。 ◆ちょっと前まで好きだった人を、手のひらを返すように冷たく扱ってしまう。 大好きで尊敬していた上司から軽いお小言を食らっただけで「嫌い」になってしまう。 ◆相手を理想化したかと思うと、一転してこき下ろすといったように、人に対する評価 が極端に揺れ動くので、対人関係が非常に不安定。 ■3. 不安定な自己イメージ。 ◆自分にとっての「快・不快」が180度変わることがあり、自分で何を考えているか わからなくなってしまう。 ◆アイデンティティーが混乱して、自画像がはっきりしない(同一性障害)。 ■4. 自分を傷つける可能性がある衝動性。次の二つにわたるもの (■5.の自殺行為や自傷行為を除く)。 ◆非常に衝動的で、 (1)ケンカ、(2)発作的な過食、(3)リストカット(手首を切る)、(4)衝動買いなど の浪費、(5)覚醒剤などの薬物乱用、(6)衝動的な性行為、(7)無謀な運転 などが見られる。 ■5. 自殺行為、自傷行為や自殺を思わせるそぶり、他人への脅し などを繰り返す。 ◆(「死んでやる!」)、自傷行為を繰り返す。 ■6. 感情がきわめて不安定。 ◆強い不快気分、いらいら、不安が2、3時間、まれには2、3日間持続する。 ■7. 絶えず虚無感、空虚感にさいなまれている。 ◆何をしていても虚しく、そのためになげやりになる。 ■8. 不適切で脈絡のない激しい怒りを持ち、それを抑えることができない。 ◆まわりから性格円満で「いい人」と思われている人が、些細なことで注意を受け たことがきっかけで怒り出し《キレ》てしまう。手加減せずに人を叩いたり、殴った り、物を壊したりという激しい行動を起こす。 ■9. ストレスを受けたことによって起こる、一過性の被害妄想的観念、 もしくはヒステリー症状。 ◆ストレスがあると、妄想的な考えや、解離性状態(考えがまとまらない状態)が 生じることがある。 |
★★★境界性パーソナリティー障害の様子: ● 最近の若い人たちを見ると、礼儀正しく、いわゆる「いい人」が多いようです。親の言うことを素直に聞いて育ったんだろうなと思わせるのですが、中に特徴的な傾向を持つタイプが目立つようになってきました。 ひとつは、人の言いなりになって相手にしがみつくタイプと、もう一つは、他人の面倒を見ることで相手を自分の中に巻き込んでしまうという、両極端のタイプが多く見られることです。 前者を「マザコン、ファザコン」タイプとすれば、後者は面倒見のいい「世話焼き女房」タイプとでも言えばいいでしょうか。 まず、前者ですが、親の言いなりでいい子に育ってきた人は、はっきりとした自分の主義主張を持たずに、借りてきた知識や情報をひけらかす傾向が強いようです。たとえば、「誰それがこう言っている、あの本にはこう書いてあった」と、やたらと有名人が言ったことや本・雑誌からの引用ネタをひけらかして、あたかもそれが自分の意見であるかのように繰り返す人です。そこにあるのは借り物の知恵・知識ばかりです。自分自身の意見・主張がないために、聞いている方は「だから、それがどうしたの? あなたの意見は?」と、イライラするばかりです。 次に、後者の「世話焼き女房」タイプですが、ときには「博愛主義」という仮面を被っているケースが見られます。何か問題を抱えて困っている人を探し出しては、その人の面倒を見ることによって、自分の存在をアピールし、維持しようとします。 しかし、こういう人は他人の問題には異常に関心を示す反面、自分自身の問題になると全く無関心なのです。つまり、ひたすら他人(や、他の事)に尽くすことが自分の喜びなのです。そうすることが善であると思い込んでいるために、ときには他の人たちに対しても自分と同じような行動を強要しがちです。 ですから、このタイプの人は、自分とは異なる行動を取る人がいるとすぐに注意したり、言うことを聞かないと憎しみを抱いたりすることさえあります。いわゆる「お局さま」タイプのなかに結構多そうな気がします。また、場合によってはギャンブルやアルコール、薬物依存などに悩んでいる人たちと親密な関係を持つこともあります。 「依存症で悩んでいる人に手を差し伸べて助けてやるのが私の使命だ」と思って接するわけですが、徐々に相手が回復してしていくと、「今度は自分が用済みとなって捨てられてしまうのではないか?」という恐怖心に苛まれてしまいます。 そうなると、今度は相手の回復を手助けするようなふりをしながら、「私がいないとあなたの依存症は絶対に治らない」と半ば脅迫し、相手がいつまでたっても依存状態から抜けられないことをひそかに願ったりします。 相手を助けるふりをしながら、実は自分が捨てられないように相手の失敗を願うのです。そこでパートナーが裏切り行為をしようものなら、その人に対する怒りの炎は燃え盛り、徹底した攻撃を加えるようになります。 こうした人間関係を見るに見かねて、第三者が不用意に口を挟んだりすると面倒なことになります。自分のパートナーを横取りする存在と見なされてしまうのです。ふたりの絆の隙間に入り込もうとする存在に対して、容赦はありません。自我の崩壊に瀕しているわけですから。こうした場合の介在者は、いくら善意であれ、親切心であれ、当人にとっては関係はありません。パートナーを奪おうとしている略奪者以外の何者でもないのです。 また、こうした人たちのなかには、人間関係で見捨てられたり裏切られたりする苦痛を経験するくらいなら、いっそ独りでいるほうがいいと、社会や家族との接触を絶って《引きこもり》になる人も少なくありません。あるいは《引きこもり》という極端な行動は取らなくても、自分が見捨てられたり、裏切られる前に、みずから対人関係にピリオドを打つ場合もあります。 これでは相手のほうがたまったものではありません。昨日までは{いい}関係であったものが、理由もわからないまま豹変するわけですから。結局、人間関係も長続きしなくなってしまいます。 また、甘えることができる世界、自分のすべてを受け入れてくれる世界を夢見る傾向もあります。特に女性にその傾向が強いようです。これが、男女間の恋愛関係になると、ことさら面倒になってきます。少しでも自分を受け入れてくれる男性であれば、たちまち理想的な男性だと思い込んでしまいます。ありのままの現実が見えないために、周りの人たちが「遊ばれて捨てられるのがおちだよ」と親切に忠告をしても聞き入れません。 極端に言うと、「好きか嫌いか」の二者択一で、中間がないのです。ですから、いくら相手は「良き友人」でいたいと思っていても、そうは行きません。見捨てられるのを恐れるあまりに、「貢ぐ人」になってしまうケースも多く、よくある女性銀行員による横領事件の背景には、こうした心理が働いている可能性があります。 そして、見捨てられるのが怖くて仕方がない気持ちとは裏腹に、突然、何の脈絡もないままに、理想の恋人を「自分を不幸に陥れる極悪人」などと思ったりすることがあります。ですから、昨日あれほど愛し合ったはずなのに、翌日になってみると態度が豹変して相手を罵倒したりすることがあります。そうかと思えば、罵ったすぐあとに、それがまるで嘘であったかのようにベタベタ甘えてきて愛情を取り戻そうとすることもあります。 こういう人のパートナーであり続けるのは大変です。いつも振り回され、しまいにはノイローゼになってしまいます。こうした状態が顕著であれば、あなたのパートナーは「境界性パーソナリティー障害」(「ボーダーライン」)だといえます。 |
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● 「ボーダーライン」の発病は、10代後半から20代前半にかけて多いが、小児のボーダーラインも認められており、『チャイルドフッド・ボーダーライン』として分類されています。 治療後の経過は、精神科医の中には、治るまでに7〜8年かかるという人もいれば、10年以上を要すると主張する医師もいて、一定していませんが、件のM医師の経験によると、長くても4年前後でだいたいの問題は沈静化し、30歳前後になると病状が軽くなってくるといいます。 いずれにしても、ボーダーラインは決して治らないという病気ではありません。専門医の治療に加えて、家族をはじめ周囲の人々の温かい援助があれば、当人の自暴自棄な気持ちを抑え、人格の成熟を促してくれるものと思料します。 |
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● 「境界性パーソナリティー障害」(「ボーダーライン」)は時に多重人格(解離性同一性障害)と紛らわしいことがあります。ボーダーラインの人は、衝動的で感情が非常に不安定なことが特徴で、気分変動が激しくて刹那的な行動が多く、そのため自分というものがわからないという障害を抱えています。ここが多重人格と似ているのです。 アメリカの報告によると、多重人格者が持っている複数の人格の中には、必ずと言っていいほどボーダーラインの人格が存在しています。ボーダーラインの人は多重人格を発症しやすく、多重人格者はボーダーラインを併発している可能性が高いとされています。 ボーダーラインの患者は、今、確実に増えつつあります。その理由として、現代の消費社会そのものにその原因があると言えます。消費社会では、自分の欲望を発揮することが奨励されます。欲しいものを我慢するのではなく、それを手に入れるためにお金を稼げと教えられます。お金が無くても、ローンで買って後で返済する仕組みもありますから、これでは、欲求を抑制できない衝動的な人間が多くなるのは当然と言えるでしょう。 ボーダーラインを生む原因は、家庭の混乱や地域共同体の崩壊にもあります。個人の自我を支えるしっかりした人間関係が希薄化すれば、自分本位になる一方で、他者を通して自分のパーソナリティーを確かめ、鍛えることができなくなります。従って、自分が何者であるかという自己同一性が不確かなものとなり、それがボーダーラインの増加につながっていると考えられるのです。 多重人格もまた自己同一性の不確かさの点で、このボーダーラインと同根です。これまで多重人格は日本では少ないとされてきましたが、今後は増えていくことが予想されています。 |
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■6.
【演技性パーソナリティー障害】
の診断基準
いつも周りの注意を自分にひきつけようとし、そのために自分の考えや行動 を演技的なまでにオーバーに表現する。成人期の早いうちに始まることが多く、 次の5つ(以上)で示される。 ■1. どんな状況、場面であっても、自分が注目の的になっていないと 楽しくない。 ◆カラオケでふり付きで歌ったのに、周りは歌詞カードに熱中してろくに拍手も してくれない。途端に機嫌が悪くなり、先に帰ってしまう。 ■2. 過剰なほど性的に誘惑的、挑発的な態度をとる。 ◆その場の雰囲気にそぐわない服装、態度、視線の向け方をしてまでも、 見られたがり、相手からの視線、リアクションを求める。 ■3. 猫の目のように変わる感情表現。 ◆「なんて素敵!」「なんてひどい!」など、その場限りのオーバーな表現や、 急に泣き出したり、「死にたい!」などと叫んだりする。 ◆興奮しがちで、ちょっとしたことでも怒りを爆発させる。その結果、対人関係 も長続きしないことが多い。 ■4. 自分に注意をひきつけるために、絶えず身体的外見を利用する。 ◆叶姉妹のように、極端に自分の肉体を誇示するタイプ。 ◆珍しい服やアクセサリーで着飾っては、これ見よがしに振る舞う。 ■5. 芝居の台詞のように印象的な話し方の反面、内容があまりない。 ◆いつも会話の中心にいて話をリードしているように見えるのに、話の中身は 芸能人のゴシップや彼氏自慢、グルメ自慢など、まあどうでもいい内容に 終始している。 ◆形容詞がやたらに多く、具体的な内容に乏しい。 ■6. 「悲劇のヒロイン」を演じたり、幼児的な振る舞いをして自分を 劇化したり、芝居がかった行動をとる。 ◆スキャンダルさえ売り物にする、落ち目の女優。スキャンダルというネガティブ な評価でも、周りが注目してくれれば演技的な自己は満足する。 ■7. 他人や周りの環境からの影響を受けやすい。 ◆とにかく思い込みが激しく、深く考えて行動することができない。 「誰々さんは頭が良くて素敵。。」という他人の評価をためらいも無く、自分の ものとして鵜呑みにしてしまう。 ■8. そんなに親しくないのに、さも親しげな馴れ馴れしい態度をとる。 ◆一面識程度の相手に対して、大声で名前を呼んだり、体を密着させて抱き しめたり、大げさな握手をしたりする。 |
★★★演技性パーソナリティー障害の様子: あなたのまわりにも、たとえば、こんな人はいませんか? ●親しくなるまではちやほやするのに、いざ親密な関係になった途端に 手のひらを返すようにがらっと態度を変える人 ●男であれ女であれ、単なる同僚や友人関係なのに、必要以上に性的な メッセージを送ってくる人 こういうタイプの人と付き合ってしまったとき、あるいは付き合わざるを得なくなったとき、振り回されるのは常にこちらですし、その結果、さまざまなトラブルはもちろん、精神的なダメージを受けることも少なくないはずです。そこに何らかの人格的な障害が関係していることは十分に考えられるのです。 |
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■7. 【自己愛性パーソナリティー障害】
の診断基準
誇大な自己イメージを持ち、尊大で横柄、大げさ(わざとらしい)で傲慢、 非共感的な態度(あからさまに他人を利用するなど)、常に周りからの賞賛を 求めるなどの行為によって特徴付けられ、次の5つ(以上)によって示される。 ■1. 自分の重要性・優秀性についての誇大な感覚。 ◆所属する部署は自分なしには成り立たないとか、自分には博打の才能があって 連戦連勝だなどと、真偽取り混ぜて業績や才能を誇張する。 ◆実際には仕事の実績は上がっていないのに、周りから優れていると認められ たがる。 ■2. 人生における成功(仕事、権力、名誉)やみずからの才能、美しさ、 理想的な愛の成就などについて、自己満足的・非現実的な空想に とらわれている。 ◆過去の失恋体験、自分はいつも悲劇のヒロインですべては相手が悪いことに なってしまう。 ■3. 自分は普通の人とは違う「特別な」存在であり、他の「特別な」人 あるいは地位の高い人たちにしか理解されないという確信。 また、そういう「特別な」人や施設(店、集まり)と関係があるべきだ と信じている。 ◆高学歴・高収入・眉目秀麗の男しか結婚相手として似合わないという思い込み。 ◆目上・目下の区別に極端に敏感な女性。男性への「さん」「くん」の敬称の使い分け にこだわり、ランク付けをしないと気が済まない。 ■4. 常に周りからの賞賛と羨望の的になることを求める。 自分の重要性・優秀性についての誇大な感覚。 ◆それまでは職場の花であった女性。仕事やオフでも中心的存在で、周りからも ちやほやされていたが、若手女性が配属されてからみんなの関心がそちらに移 るに従い、次第に仕事への熱意を失い、後輩へのいやがらせまでするように。 ■5. 特権意識。さしたる根拠・理由もないのに、周りから特別な取り 計らいを受けることを期待している。 ◆優先予約、特別招待など、レストランやブティックなどから人とは違うサービス を要求し、それが受け入れられないと癇癪を起こす。 ■6. 自分が目立つためや目的を達成するためには、他人を利用しても 当然と考えている。 ■7. 共感・思いやりの欠如。他人の気持ちや欲求を認識しようとしない。 自分のプライドが少しでも傷つけられると抗議するが、他人のそれ には無頓着。 ◆自分にまつわるエピソードは誇らしげに話すのに対し、他人のことはズケズケと こきおろす。話題の中心にいないと気が済まない。 ■8. 他人を妬むことが多い。逆に他人が「特別な」自分を妬んでいると 思い込む。 ■9. わがままで尊大、傲慢な態度・行動。 ◆カラオケなどでみんなが自分の歌を聴いて盛大な拍手をしてくれればいいが、 歌詞カードに熱中していたりすると不機嫌となり、癇癪を起こしてしまう 女王さまタイプ。 |
★★★自己愛性パーソナリティー障害の様子: ● いまさら言うまでもありませんが、「信頼感」こそが人間関係の基本をなすものです。信頼感と言う基本的な安心を、社会や他人に対して持てるからこそ、私たちは自分自身を表現したり、行動することができるわけです。 ところが、私たちが日々、実感しているように、今の日本に自分を託すことができるもの、信頼を置けるものが果たしてあるでしょうか? 前述した、《規範が揺らいでいる》と言うことはそういうことなのです。 新聞やTV報道のタイトルを飾る『●●崩壊!』の●●の部分には、私たちの生活を構成するあらゆる要素が書き込まれてもおかしくありません。 曰く、家庭崩壊 学級崩壊 会社崩壊 親子崩壊 経済崩壊 人間崩壊 ……。 その結果、私たちは『心のあそび』を失ってしまったのでしょう。 人間の心も、車のハンドルと同じようなもので、『あそび』がなければ、外からの力に対してすぐ反応して、『キレ』てしまいます。『心の力学』とでも言えばいいのでしょうか? そのような環境から生まれる人間関係は、おのずとギスギスしたものとなり、軋轢(あつれき)も生じやすくなります。 『心のあそび』がなくなるということは、とりもなおさず『心の力』が衰えていることに他なりません。 ここでいう『心の力』とは、相手の 気持ちを理解する力と自分の気持ちを表現・主張する力が統合されたものです。この二つの方向の異なるベクトルが調和して保たれている状態が理想的です。ところが、今の日本人には、この二つのベクトルのバランスが崩れてしまった人が余りに多いのではないでしょうか? ある時は自信過剰で居丈高になってみたり、またある時はへんにおもねってみたり、だんまりを決め込んでみたりと、実に不安定な精神構造にあることが見て取れる----この国を代表する政治家にも、こんなタイプが増えてます。ある意味で今の日本(人)の精神状況を象徴するのでないかと思ったりするわけです。 ////////////// 『心の力』とは、コミュニケーション能力であると言い換えることもできます。 コミュニケーション能力の衰えは、対人関係の基本である言語能力や表現能力に必ず影響してきます。さきほどの伝で言えば、それが外に向かえば、お互いが自分の自我、エゴをむき出しで衝突することになりますし、逆に内向きに働けば、周りとの接触を嫌って自分だけの世界に閉じこもる要因になったりします。 もう少し具体的に言えば、一つは、対人関係においてお互いの立場を理解しないで一方的に自己の利益ばかりを主張して争ったり、人の話を聞かないで独断専行するなど、身勝手な行動が顕著になったり、自分さえよければ他人のことはどうでもいいといった協調性に欠けることにもなります。 冒頭にあげた例で、他人を利用ばかりしている人、自分の自慢ばかりしている人、特別扱いにすることを要求する人などは、そうしたケースと言えるでしょう。 『心の力』の衰えは、人間であれば誰もが持っている攻撃性(夢中になって砂遊びをしていた幼児が、突然、作ったものを壊してしまう行為なども、その現れです)や、衝動性などが容易に解放されるきっかけともなります。 ちょっと冷静に考えれば、あるいはあとになって考えればそうはならなかったのに、という経験は程度の差こそあれ誰にもあるものですが、この刺激--反応系が過敏になって、ちょっとした刺激に過剰に反応しやすくなることも珍しくないのです。 何年も前に、後ろの車に大きなクラクションを鳴らされたことに腹を立てて、相手のドライバーを刺し殺した人がいました。あとになってわかったことですが、二人とも普段はボランティア活動にも熱心な真面目なサラリーマンだったそうです。 普段ならそんな恐ろしい行為をするはずのない人たちが、衝動的にあとさきのことを考えずに事件を引き起こしてしまう。いくらおとなしくて、真面目で「いい子」であっても、何かのきっかけさえあれば、内面に抱える攻撃性や衝動性を爆発させてしまう。人間は誰しもそのような要素・要因を抱えて生きているのです。『キレる』とはまさにそういうことで、その意味では、明日はわが身ぐらいに考えておいたほうがいいのです。 |
● 夫婦の間にはさまざまな行き違いや衝突がある。「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言うけれど、そうした喧嘩をしながら互いに理解と諦めの気持ちを育むことで、やがて穏やかな関係になれば夫婦は安定飛行に入ります。 ところが、満足に夫婦喧嘩ができないと、 夫婦の軋轢はいつまでたっても修正できず、相手に対する恨みが蓄積していきます。なぜ夫婦喧嘩ができないかというと、一方が優位に立って他方を無力化し、相手を思うがままに支配し続けているからです。優位に立っている側は相手をいじめ、そのいじめが快楽にすらなっているケースもあります。 たとえば、夫がしばしば妻に暴力を振るうので、妻の体には生傷が絶えない。そんな話を聞けば、なんで妻は夫から逃げ出すなり離婚しないのかと思うけれども、既に妻の精神は夫に支配されているのです。そのため、どんなに殴られたり蹴られたりしても、妻は自分が悪いからだと思ってしまうのです。たとえ殴られなくても、言葉による暴力が執拗に浴びせかけられ、そのためいつしか抵抗する気力も失ってしまうこともあります。 それは、嫁姑の関係、先輩後輩の関係、新参者と顔役のボスの関係などにも言えます。それが恐ろしいのは、暴力そのものより《心が支配される》ことです。 こんなケースがあります。 東京で平凡な暮らしをしていた女性が、ある地方都市の豪商の跡取り息子に見初められ、その家に嫁入りしました。東京で気ままに暮らしていた人間が、田舎の旧家の伝統に馴染むのは大変で、しきたりや儀式を一通り覚えるのに随分と苦労したことでしょう。 それを何とかこなせるようになると、今度は嫁姑の問題がのしかかってきました。姑の嫁への対応は、表面的には優しいのですが、日常のちょっとしたことにも口をはさみます。嫁の立場の彼女にとって、その物言いは陰湿で、深く傷ついていきました。 たとえば、彼女が漆塗りの器を拭いていますと、姑は横を通るときに、 「拭き方も知らないで、よく平気でこんなところにいられるね。この頃の嫁はまったく図々しいものだ」とつぶやくように、しかし彼女にはっきりと聞こえるように言うのでした。 彼女は胸をナイフで刺されたように感じ、そのひと言を聞いた夜は眠れなかったという。 姑が面と向かって言ってくれれば、納得できることなら従うし、おかしいと思えば反論することができます。しかし、独り言をわざと聞かせることで、彼女の反論を封じ、そして彼女を支配しようとする。姑は「私を見習い、私を尊敬しなさい」というメッセージを発しているのです。 まるで封建時代の世界。まさか自分がその中に身を置くことになろうとは………。夫との静かな地方生活を夢見ていた彼女には想像もしていなかった事態に。 その夫は、あからさまに彼女に向かって言った。 「お前はなんて要領が悪いんだ」 夫が彼女を守ってくれるなら救いもありましたが、姑に味方したため、彼女はその家の中で孤立するばかりでした。 一人はささやくように、もう一人は怒鳴り声で、、、二人から挟み撃ちされる毎日を送るうちに、とうとう彼女はうつ病になってしまいました。確かに病気になるのも無理は無い環境であり、病気に逃げるしかないところまで追い詰められていたのです。 彼女は夫に悩みを打ち明けたり、姑 に言い返すこともできなかった。そんなことをすれば、夫には「なんてお前は弱い女なんだ」と怒鳴られ、姑には「それではこの家の嫁は失格です」と負け犬の烙印を押されることが目に見えていたからだ。 状況を打開しようとして口を開けば、そのお返しが何倍にもなり、かえって自分が苦境に陥るのが容易に想像できると、人は何も言えなくなります。そのうち彼らが言うように、自分は本当にダメな人間なんだと思うようになってしまったのです。 ● こんな夫婦のケースもあります。 夫の海外赴任でアメリカで暮らしていたとき、家族は実に円満だった。子どもが生まれれば夫婦一緒に喜び、休暇のたびにドライブ旅行し、毎日の生活も楽しんでいた。外国では係累が少なく、家族を支えるために夫婦が協力していたのです。 しかし、一家が日本に帰ってきたとき、夫は仕事以外の時間を宗教活動に費やすようになり、妻と過ごす時間がなくなってしまいました。妻はそんな夫に愛想を尽かして、子どもを連れて実家に戻ることが多くなりました。アメリカでは絵に描いたような仲良し家族が、帰国後はあっという間に崩れてしまったのです。 夫は自宅と実家を定期的に往復する妻に向かって怒鳴りました。 「おれはこれだけ働いているのに、お前はなぜちゃんと尽くさないのか。おれに尽くさないなら、、、、」 妻は最初のうちこそ「私はできるだけのことはしています」と言っていましたが、それ以上の反論はしませんでした。そのうち夫を避けるように、実家にいる時間が長くなっていきました。 夫はやがて自分の言うことを聞かない妻に怒りをつのらせ、「お前なんかこの家から出て行け。子どもだってお前を嫌っている」とののしるようになりました。そしてついに、ある朝、 食事をしているときに、夫が妻をなじり始めると、妻は突然、マンションの玄関を開けて、外に向かって「この人は私を殺そうとしている!」と大声で叫んだのです。 妻が夫の前であからさまに逆らうのは初めてでしたが、同時に最後になりました。これで夫婦生活はピリオドを打ってしまったからです。 このケースを分析すると、夫はかなり自己愛性が強い人間です。先の例の地方都市の旧家で嫁を迎えた姑と夫もそうなのですが、彼らは自己愛性パーソナリティー障害と言っていいかもしれません。 ● 自己愛性パーソナリティー障害の人たちは、これらの例の主人公に見る通り、共感性が乏しく、自分が中心になって周囲の人を動かさないと気が済まないし、いつも誉められていないと安心できません。そのため、強引な力の論理を使って周囲の人を犠牲にしながら、自分を高めようとするのです。 そして、このような人たちの踏み台になる人は精神的な被害が大きく、PTSD(外傷後ストレス障害)に近い精神状態になることもあります。いわば、呪縛を受け、身動きが取れなくなってしまうのです。 家庭の中で夫や姑という立場にある自己愛性パーソナリティー障害 者のケースでは、その妻や嫁が支配の対象になりますし、会社という組織の中でも、自己愛性パーソナリティー障害 者の上司をいただく部下はとんだ災難に遭うことでしょう。 自己愛性パーソナリティー障害 者は、過度の賞賛を要求し、目的を果たすためには他人をいいように利用し、他人との共感性が顕著に低く、嫉妬深いという特徴があります。つまり、部下には絶対的な忠誠を求めたり、部下を酷使したあげくに使い捨てたり、自分を脅かすライバルを蹴落とすタイプです。 その周囲には、従順で真面目で几帳面、そして小心な人たちが取り巻きのように従っていることが多い。彼らは、自立心が乏しいために、強い指導力の傘が欲しくて、あえてこのような自己愛性パーソナリティー障害 者の支配の下にいるのです。それによって、心が破壊されるほどに大きな被害を受けていることがあるのです。 |
● Bさん(26歳、男性)は、IT(情報技術)関連の会社に勤務しています。中途入社で転職経験が4回ありました。最初、人事部は学校を卒業して4年で4回の転職は何か深い事情があるのではないかと採用をためらったのですが、彼の「自分をキャリアアップさせるための転職」という言葉を信じて採用したのです。 やたらと明るく振舞うところが、対人折衝に役立つのではないかという判断もあったのでしょう。さわやかな外見が好印象を与えたことも確かです。Bさんは営業部門に配属されました。入社した当初は、いまどきの若い人には珍しく、始業時の30分前には出勤し、課員全員の机を掃除するなどのけなげな姿が見られました。 しかし、次第に会社の雰囲気に慣れてくると、豹変しました。実は、彼が4回も転職したのは、自己実現のためではなく、彼の人格・性格に問題があったからなのです。 Bさんは小学校から有名国立大学卒業まで優秀な成績で過ごして来ました。学生時代には勉強面で挫折したことが一度もありません。父親は一流企業勤務、母親は東京の有名女子大卒業、経済的にも恵まれ、一人っ子の彼は、たいていの欲しいものは手に入る恵まれた環境で育ちました。勉強以外で困ったことがあれば、両親のどちらかがすぐに手助けしてくれたそうです。 そんなBさんでしたから、自分は優秀だから誰にも負けたくないというプライドは人一倍強いものがありました。それは彼の態度にすぐに現れるようになりました。 同僚や上司に対して、知ったかぶりや偉ぶったりすることが多くなってきたのです。それだけなら「ああ、Bさんはそういう性格か」と放っておけるのですが、反面、彼は極度の甘えん坊でわがままでもあったのです。 優秀さを自慢するだけあって、Bさんは少し荷が重いかなと思える仕事も得意先から取ってきました。ところが、その後がいけません。納期に間に合わなくなって、結局、上司に「何とか助けて下さい」と泣きを入れるのです。 こんなことが二度、三度と続きました。最初は寛大だった周囲の人たちも、ついには怒りを通り越してあきれ返る始末に。しかし彼はまわりの反応や視線などわれ関せずで、同じことを繰り返してしまうのです。 そのたびに同僚が彼の尻拭いのために得意先に謝りに行ったり、自分の仕事をあと回しにして、別の得意先から苦情を言われることが頻繁に起こるようになりました。ある日の営業会議の席上でした。みんなから苦情を言われたBさんは、こう言い放ちました。 「こんなに一生懸命仕事を取ってきているのに、うまくいかないのはみんなが協力してくれないからだ。僕は少しも悪くない」 そして、周囲をはばからず大声で泣き出したのです。これにはさすがの部長や部員もその場をどう収拾していいかわからなかったそうです。これ以上、事態が進行すると、会社の信用もがた落ちになるし、ほかの部員にも悪影響を与えることを危惧した部長は、人事部に彼の異動をかけあいました。しかし、どこの部署にも空きがなく、しかたなく外回りの営業ではなく、資料整理や顧客管理などの内勤を命じたのです。 ところが、彼は優秀であるはずの自分がなぜ内勤に回されたのか少しも理解できません。事情をよく知らないほかの部署の人をつかまえては、「なぜ、自分が、自分が、、、」と愚痴をこぼしながら、それでも内勤の仕事をしているそうです。 Bさんのケースは、自分の優秀性をまわりに誇示する自己愛性パーソナリティー障害と、肝心な場面で責任を避ける回避性パーソナリティー障害の二つの側面が現れています。 Bさんのような場合、異性との関係もうまくいくはずがありません。事実、話を聞いてみると、女性と長続きしたことはないというのです。最初は自分が優秀と思い込んでいますから、寛大な態度で付き合うのですが、いったん性的関係ができると、本来が甘えん坊でわがままな性格ですから、豹変します。 嫉妬深くなり、行動のあれこれをチェックして自分の思う通りにならないと怒り出したり、彼女の何気ないひと言でカッとなって暴力を振るうこともあったそうです。それでいて「自分を捨てないでくれ」と甘えるのです。そんなことが続くものですから、女性のほうはいたたまれなくなってしまうのです。 しかし、Bさんには懲りるということがありません。しかも両親は彼が外の世界でそんな低い評価を受けているとは夢にも思っていません。このままいけば、彼はどこに行っても受け入れてもらえなくなり、家に引きこもってしまう可能性も高いのです。 |
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■8.
【回避性パーソナリティー障害】
の診断基準
対人関係すべてへの不安、批判されたり、嫌われたり、馬鹿にされたりすること への極度の恐れ、臆病さを特徴とする。少しでも批判されると、すぐ落ち込んで しまう。 以下の4つ(以上)で示される。 ■1. 批判を恐れて、重要な対人接触のある職業的立場(地位、役割)を 避けてしまう。 ◆経理課長への昇進を打診された公務員。他部署との連絡調整役は勤まらない として拒否、出世へのステップを棒に振ってしまった。 ■2. 好かれているとわかっていなければ、人と付き合うことができない。 ◆19歳大学生。クラスの女の子に好意を持ったが、「あんなかわいい子にボーイ フレンドがいないはずはないし、自分など相手にしてもらえないだろう」と声もかけ られない。 ■3. 恥をかかされること、馬鹿にされることを恐れて、たとえ相手が 親密な関係でも遠慮してしまう。 ◆セックスレス・カップルの性交渉を回避する男性。「失敗したら相手に嫌われる と思うとできない」 「満足させることができなかったらどうしよう?」 ■4. いつも相手の批判、拒絶にびくびくし、少しでも批判されるとがっくり きてしまう。 ◆会議の席で、自分の気持ち・考えがコントロールできなくなり、恥ずかしい思い をしたり、周りの人から嫌われるのではないかと恐れるあまり、発言できなくなって しまう。 ■5. 人間関係に必要以上に神経過敏で気に病んでしまうため、ステップ アップすることができない。 ◆「嫌われたら、振られたらどうしよう」と恐れるあまり、心では恋愛関係に進みたい と思っていても、友人関係のままでとどまってしまう。 ■6. 自信の無さ。自己評価の低さ。自分は社会生活に適応できない、 人間として長所が無い、他人より劣っていると思っている。 ◆周りはできる人と評価しているのに、本人の口癖は「すみません」「だめなんです」。 ■7. 恥ずかしいことになるかもしれないという理由から、新しいこと (仕事、人間関係、趣味、勉強)に取り組むことに、異常なほど 引っ込み思案。 |
★★★回避性パーソナリティー障害の様子: 商事会社の30歳の係長。判断・指示がコロコロ変わるというので、部下はその都度、右往左往。上役の「鶴の一声」には、是非も無く言いなりになり、他の部署からクレームをつけられると、とりあえず同調してしまう。折角部署で決定したことでも、すぐにひっくり返してしまうタイプ。「責任」「決断」の2文字が大の苦手。 こういうタイプの人は、自分の意見を持たないことで、周りに救われてきたといえます。指示待ち人間になることで、徹底的に周囲との軋轢を避け、自分のポジションをキープしているわけです。部下からすれば、まさしくやっかいな上司には違いありませんが、案外、こういうタイプは多いものです。 ところが、上役から見ると、結構重宝な存在であったりします。怒りのはけ口にはぴったりです。 同じく優柔不断でも、こだわりが強すぎてかえって決められない場合と、このケースのように、自分の意見が持てなくて決めかねる場合とがあります。周りが決めてくれるのを待とうとするわけです。 周りが決めてくれれば、結果はどうあれ、とりあえず自分の責任は回避できます。この係長がいちばん避けているのは、「責任」の問題です。あるいは、叱られるのが怖いというトラウマを抱えているかもしれません。こうした言動が、日常生活のあらゆる場面に見られるようなら、「回避性パーソナリティー障害」の疑いが考えられます。 ところで、私の友人にも自己決定がなかなかできない人がいます。実害は? というとさほどないのですが、彼と食事に一緒に行くとなると大変です。彼は何事にもこだわるタイプで、グルメ情報について情報誌、単行本からインターネット情報まで膨大な情報を持っていますから、いちいちうるさい。それなのに、いざ今日はどの店にしようか、という段になると、あれこれ考えて決められなくなってしまうのです。実際、何時間も一緒にほっつき歩いて、結局、行く先々で店が閉まっていたなんて経験が何度もあります。 どっちのタイプも友人となるとやっかいです、、ね。 |
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■9. 【依存性パーソナリティー障害】
の診断基準
日常生活の広い範囲にわたって、「世話をされたい」という過剰な欲求があり、 そのために従属的でしがみつく行動を取る。そうした関係からの分離には不安 を覚える(分離不安)。以下の5つ(以上)で示される。 ■1. 日常生活の瑣末(さまつ)なことを決めるのにも、周りからの有り余る ほどの助言・保証がなければできない。 ◆季節の洋服を買うのにも自分では決められず、好きじゃないと思っても家の人や 友人の判断に任せてしまう。飲食店でのメニュー選びがひとりではできない。 ■2. 生活のほとんど主要な領域で、他人に責任をとってもらうことを必要 とする。 ◆30歳の既婚のキャリアウーマン。何度も管理職への昇進を勧められても、 その都度拒否。「人を管理する責任を負いたくない」という彼女は、高校・ 大学進学、就職先選びも見合い相手も、親の意見に任せっきり。 ■3. 相手から支えてもらえなくなることを恐れて、自分の意見を言えない。 ◆「今年こそ巨人が優勝だよな」と言われた時、自分では中日が強いと思っていて も、反論されるのが嫌で、「うん、そうだね」となってしまう。 かと思えば、「でも、 横浜も強いよね」などと切り返されたりすると、これにも「やっぱり最後は横浜だよ ね」と、無定見の極み。 ■4. 自分の判断、能力に自信がないため、自分の考えで計画を立てた り、行動することができない。 ◆グループ旅行では、自分で計画が立てられないため、結局、他人任せになって、 行きたくないところへ旅行するはめに。 それなのに、行った先でぶつぶつ文句を 言うので、嫌われる。 ■5. 他人からほめてもらいたい、気に入ってもらいたいために、したくない ことまで進んでやってしまう。 ◆捨てられたくない一心から、借金をしてまで恋人や愛人に貢いでしまう「貢ぐクン」。 ■6. 自分自身の世話をすることができないという恐怖から、独りになる ことを嫌う。 ◆ちょっとした問題があると夫の職場に頻繁に電話をしてくる妻。ついには夫が 出勤するときに「行かないで」と懇願するように。 ■7. 恋愛など親密な関係が終わったとき、すぐに自分を支え世話して くれる関係を必死に求める。 ◆たちの悪いヒモ的な男との関係を繰り返してしまう水商売の女性。 ■8. 周りから見捨てられ、ほったらかしにされるという、根拠の無い恐怖 にとりつかれている。 |
★★★依存性パーソナリティー障害の様子: ● E子さんは20代半ばの、スタイル抜群のお嬢さんで、家は都内にいくつかの豪邸を持つ資産家です。しかし、家庭内は複雑で、父親は外に何人もの女性を囲っていて、母親はそんな父親に嫌気がさして不倫に走ったこともあります。 両親は、彼女に対して、あるときは目の中に入れても痛くないかのように扱ったり、またあるときは手のひらを返したりと、情緒不安定な扱いを交互に繰り返します。本人としては、親を拒絶したい気持ちがある反面、依存したい気持ちもあって、そのもやもやを解消するために、10代のころから自傷行為やアルコール依存、性的放縦などを繰り返してきました。 ところが、本人も20代半ばになって考えるようになったのでしょう。両親の呪縛から逃れたいと思うようになってきました。親離れをしようと思っているのです。 ところが、母親は、娘の親離れを引きとめようと必死になりました。ご主人に見放され、そのうえ娘にまで見捨てられる孤独に耐えられないのです。なにしろ、娘に自分の不倫の相談までしている母親です。 こんな母親に対し、E子さんもむげにはできません。そうした二律背反の精神状態がフラストレーションとなり、はけ口となったのが、彼女にべた惚れのフィアンセでした。 このケースは、典型的な「共依存」の関係と言われます。 一般に、母親と子どもの共依存が生まれる背景には、夫婦関係の問題が投影されています。家庭内で夫婦間の会話が無くなり、特に妻としては夫に応えてもらいたいと思っているのに、夫から何の反応もない状態が続くと、そこで溜まったフラストレーションが、「第三者」である子どもに向いてしまうのです。そして、夫はあてにならない、子どもだけが頼りだと、ますます我が子に依存して、結局、子離れができなくなるのです。 一方、子どもの方も母親の期待に添わなければならないという、半ば使命感に似たものを背負い込み、母親のために献身的に努力するという構図が家庭内に出来上がるわけです。 母原病(ぼげんびょう)という言葉があるように、親が作り出す心の病気があります。このケースのように、親は子が親離れすることを半ば脅迫的に抑圧し、親離れしそうになると、ときには「親不孝」などと罵ることもあります。つまり、「親の子離れ」のほうが、「子の親離れ」よりも遅いのです。 もし自分の親がこのタイプだとしたら、それを解決する方法は一つしかありません。勇気を出して、親から見たら「悪い子」になることです。ただ、親の持つ共依存の幻想を切り裂くには、かなり強力な「悪さ」を要求されるかもしれません。 もしそこまでできないと思われるなら、まだ時期尚早なのでしょう。しかし、タイミングを逸すると、自立のチャンスを逃しかねないので要注意です。世間には、40代、50代のパラサイトシングルなどざらにいる時代です。 本当の愛情は、決して甘いだけのものではありません。突き放して自立を見守るのが真実の愛です。盲愛・溺愛とは違います。あなたは、本物の愛に生きることができますか? |
● 2001年の1月、香川県高松市で行われた成人式の会場で、数人の新成人が市長の挨拶そっちのけで酒を飲み回し、あげくはクラッカーを市長に投げつけるという「事件」がありました。また高知県でも、知事の挨拶中に汚いやじを飛ばし続けた若者が、橋本大二郎知事から退場を命じられる騒ぎがありました。 その後の日本、成人式の都度似たような不謹慎な事件が続いています。テレビのニュースで見て、まったくこんな騒ぎを起こすような子の「親の顔が見てみたい」と思った国民は数知れずでしょう。どんな環境の中で育てたら、、こうなるのか。 大人になるということは、他人が自分をどう見ているか? ----つまり外部の視線を、自分の中にきちんと取り込んで、機能させることに他なりません。成人式の祭典には、少なくとも会場に同席した同年代の新成人や祝う側の市民、マスコミなど周囲の視線があったはずです。 そういうことを意識していれば、周囲の視線を少しでも想像することができていれば、酒を飲み回してクラッカーを市長に投げつけるという「衝動」むき出しの行為はできなかったはずです。これは、「共感能力の欠如」ということです。 共感能力とは、相手の立場に自分を置いて、相手の心をあれやこれや想像する、これまた大切なコミュニケーション能力のことです。 成人式の例で言えば、まあ、若者特有のやみくもに権威・権力に反発したくなる気持ちはわからないではないですが、そこには自分と同じ二十歳(はたち)の若 |