宇宙論Turkey Seminar 第10回



       2000.6.1
Turkey Seminar2-04

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みなさん こんばんは。
Dr. Pの『Turkey Seminar』の時間がやってまいりました。

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((((((((((((BOOK2第4回))))))))))********* 

                          《イントロ 無し》


☆★☆ それでは、第10回目の授業 開講します。起立っ 礼ぃ 着服(コラ!?)

  *****Turkey Seminar*****#010*****2000.6.1*****Dr. P*****

          
M95銀河       M109銀河      NGC253銀河   NGC1300銀河  
しし座 2900万光年   おおぐま座      ちょうこつしつ座 880万光年

【2-04】 BOOK 2 : 現代宇宙論の萌芽
 Sheet 10


 前回のラスト:

 この比例定数を『ハッブル定数』と呼び、今日でも銀河系外天文学の最も重要な定数とされています。

 BOOK1をお読みの方は、すでに お分かりですね。この発見によりビッグバン宇宙論に道が開けることになったのです。

 −−−−本日は、ここから 続きます。

 『ハッブル定数』の値は、発見当時と今では、だいぶ変わりました。今では、宇宙の膨張速度は100万パーセク当たり秒速50〜100キロ前後であると言われています。《すんげえぇ〜!》

 ともあれ、こうして宇宙項Λを含む静止宇宙モデルは完全に過去のものとなり、問題は、宇宙の空間曲率がプラスなのか、マイナスか、という点に絞られてきたのです。

 宇宙が静止したものではない、という認識に立ったとき、宇宙論者たちは、これまでの問題とはくらべものにならない根源的な問題に直面することになりました。

宇宙が膨張しているという観測結果が事実だとすると、一体いつ、なぜ宇宙は膨張を始めたのだろう?宇宙はどうやって誕生したのだろう?


 この疑問に答えようとする最初の試みが1927年、ベルギーのアベ・ルメートルの考案した「宇宙斥力」の概念。斥力がわずかに重力を上まわった時、原初のミニ宇宙は膨張に転じたという彼の最初の主張には、幾つかの欠陥があり、ついに、1931年この不完全さを克服して打ちだしたのが「ただ一個の粒子」宇宙という概念でした。

 宇宙の始まりは、ただ一個の粒子だった、とする新しいモデルに到達したのでした。すべての宇宙の時空と物質がその内部に封じ込められた、極微の「宇宙粒子」がまず最初に存在し、これがある時、放射性元素の自然崩壊のようなプロセスによって壊れ、そこからいっきに宇宙の膨張と内部崩壊の生成が始まった、とするわけです。

 これならば、爆発の初期段階で、宇宙のいたるところが超高温・高圧の状態を経験しているのだから、その時点でさまざまな重元素が生まれたことも説明できる。まさに、この説こそ、のちの【ビッグバン】モデルの母体にほかならなかったのです。

 ルメートルのこのモデルは、その後15年を経た1946年、極めて精緻な理論体系として整備されました。この年、ロシア系アメリカ人の物理学者ジョージ・ガモフBOOK1参照》は、共同研究者であるラルフ・アルファーおよびハンス・ベーデとの連名で、宇宙誕生以降の元素の生成の歴史を解明する最初の論文を発表しました。

 彼ら三人の頭文字をとって【αβγ理論】と称されるこの論文の内容を概説しますと;


原初の宇宙粒子の内部は中性子だけで満たされていた。中性子は自由な状態におかれると、12分弱でベータ崩壊と呼ばれる崩壊を起こし、電子とニュートリノを放出して陽子に変わります。そのためには、中性子が自由に運動でき、冷却されるための空間が必要になる。

 これまでの膨張宇宙論では、宇宙は膨張の初期過程においてずっと熱的平衡状態を保っていた−−つまり、宇宙のどこにも熱的偏りはなかった−−という前提に立っていたけれど、これでは重い元素の生成過程をどうしても説明することができなかったのです。

ガモフらは、宇宙が膨張することによって熱を捨てる空間ができ、急激に宇宙が冷却されていくことによって常に宇宙が熱的非平衡状態にあった、という立場を見出したわけです。


ある時宇宙は、突然膨張を始め、解き放たれた膨大な量の自由中性子は、ベータ崩壊を起こして陽子に変わる。陽子と中性子は、膨張しつつある宇宙の高温・高圧のなかで衝突して重水素原子核となり、さらに三重水素原子核に変わる

次にそのうちの中性子がベータ崩壊を起こしてヘリウム3となり、どんどん玉突き状に新しい原子核が中性子の捕獲と崩壊を繰り返しつつ、より重い原子核に成長していく。こうして、膨張開始後、わずか20〜30分で現在の宇宙に存在するすべての重元素が生成された

 −−というのが【αβγ理論】、彼らの理論です。

 ガモフは、宇宙のすべての構造を生み出したこの最初の大膨張を、1984年初めて「ビッグバン」と呼びました。このネーミングがあまりにも秀逸だったことから、以来、この言葉はたちまち普及し、誰もがこの名前を用いるようになりました。昨今では、原義を大きく離れ、金融の−−、銀行の−−、経済の−−など、卑近な例に転用されていることは、皆さんよくご存じの通り。

 もっとも、彼の【αβγ理論】は、残念ながらそのままではものにならず、その後の研究でいくつかの点が修正を余儀なくされました。



 まず、急激に温度と密度が下がっていく初期ビッグバン宇宙のなかで、鉄やウラニウムのような重元素が生成されるのは容易なことではなく、その後、今日の宇宙に見られる重元素は、実際には、宇宙の歴史がずっと進んで恒星が生成され、それが超新星爆発を起こすことにより、その中心部で初めてつくられることが明らかになっています。


 また、初期宇宙に存在したのは中性子ばかりではなく、少なくとも中性子が存在していた頃にはすでにそれと同数の陽子が存在し、さらに、それよりずっと多数のニュートリノと電子が存在していたことも証明されたのです。


 これら指摘に基づき、宇宙の形成の歴史をトータルに記述しようとするガモフのビッグバン・モデルは、それぞれの時点における最新の物理学の成果をどんどん吸収しながら、ますます精緻なものになっていきました。とりわけ、ビッグバンの初期過程を解明する最強の武器になったのが、高エネルギー物理学の知識です。


 今日の宇宙を作る素材である核子(陽子と中性子=(ようことニューハーフではありません。為念。くすっ))、電子などの材料が出そろったのは、ビッグバンからおよそ、0.01秒が経過してからのことでした。−−−0.01秒の謎−−−−

 そして、このときまでには今日の宇宙のミクロの構造からマクロの構造までをとりまとめる最も基本的な4つの力《もう、おなじみのはず》、すなわち、

1.電磁気力、
2.重力、
3.核子を結合する強い力、
4.中性子を崩壊させる弱い力

が完成していたのです。


 したがって、ビッグバンの本当に重要なプロセスは、じつは、爆発の起こった瞬間から、現在の宇宙の秩序の原形が完成する、この0.01秒の間にこそある、と言ってよいのです。なんと、0.01秒−−−“神”より早業でしたね。


 この、今日の宇宙のすべてを決めた0.01秒間の出来事を解明するには、我々の想像を絶する超高密度のエネルギーが渦巻いていた当時の宇宙における物理過程を解明する科学、高エネルギー物理学こそが絶対必要不可欠です。


 宇宙論の進展と歩調を合わせて世界各国で建造されてきた巨大な粒子加速器は、次々により古い宇宙の状態、より高密度のエネルギーを地上に生み出し、原初の未分化の力が次々に4つの力に分かれていく過程を解明してきました。


 ビッグバン理論は、文字通り宇宙の最大の構造と最小の仕組みを同時に対象とする究極の総合科学になっていくのです。


 −−−これが、ココロふるえるほどの興味を、惹きつけて止まない「理由」なんで
す。私にとって。もう、逃げ出せません。おそらく、終生………。


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 ガモフらの【αβγ理論】が登場してから、その理論の欠陥が吟味され、次第に磨き上げられて、現代的なビッグバン理論として完成していく道程は、決して平坦なものではありませんでした。


 物理的にその仮説を裏づける証拠が何も存在しなかったため、天文学や物理学全般の流れから見れば、ビッグバン理論などまだまだマイナーで風変わりな論理の遊びという扱いしか受けなかった時期が長くありました。

 しかも、丁度ビッグバン理論の進展と時を同じくして、その強力なライバルとなる宇宙論が登場し、ビッグバン理論と永年に亘る確執を繰り広げました。この理論が『定常宇宙論』と呼ばれるもの。

 その提唱者は、当時ケンブリッジ大学に在籍していたイギリスの天文学者、フレッド・ホイルとトマス・ゴールド、それに、オーストラリア人のヘルマン・ボンデイの3人でした。

 彼らが唱えた新理論は、次のような立場に基づくものでした。ビッグバン宇宙論を認める研究者は、その理論を受け入れることによって、同時に、なぜビッグバンが起こり、宇宙が誕生したかという疑問に答える義務をも背負い込んだことになる。

 だが、この宇宙がなぜ誕生したか? などということに、果たして人間は答えられるのだろうか? それよりも、宇宙の始まりなどという無意味な問いに答えることを必要としない新しいモデルはないものだろうか?

 すなわち、宇宙には始まりも終わりもなく、無限の過去から無限の未来まで、いま観測されるような姿のままで存在し続けた、というモデルは考えられないだろうか?

 そこで、ホイルらが採用したのが【完全宇宙原理】と呼ばれる概念でした。【宇宙原理】とは、かつて、アインシュタインが最初の宇宙モデルの構築の際に採用した、宇宙はすべての方向にわたってどこまでも均質だというあの前提のことです。だが、アインシュタインの「宇宙原理」は、単に空間的な均質性を保証するものにすぎませんでした。

 これに対して、ホイルらは、時間的な均質性をそれに付け加えたのです。宇宙は「どこまでも」均質なだけでなく、「いつまでも」均質である、というわけです。

 しかし、宇宙が膨張を続けているという観測事実は動かすことはできない。宇宙が本当に膨張しているのなら、いずれ宇宙は今よりも希薄になるだろうし、かつて宇宙は今より高密度だったことになり、「完全宇宙原理」は崩壊してしまう。そこで登場するのが「C」という新しい場の概念だったのです。

 この「C」のCは、クリエーション(創造)から名付けられました。本来は宇宙の時空に備わった基本的な性質のひとつでもあります。


−−−−この続きは、次回に。 

  *********(((((((((((((BOOK 2-04 了)))))))))))))**********

次回(第11回目)は、は ビッグバン理論の確立、量子力学的宇宙像のもたらした衝撃、時間が許せば、ハイゼンベルクの不確定性原理、アインシュタインとボーアの論争といった当たりに進んでいきます。

乞う ご期待! 


    《みんな 楽しみ始めてるかなぁ お〜い! どんな感じぃ?》

−−−That's All for Today ! So Long Everyone !

   (では、本日は、ここまで。)

By Dr. P
   
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