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宇宙論Turkey Seminar 第15回



       2004.8.14
Turkey Seminar2-09

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みなさん こんばんは。ご先祖様と わいわい 賑わい盆 やってます?
迎え火も 送り火も やはり旧盆の方に 風情があります、、ね。
さて、Athens Olympiad も始まりました。さぞ寝不足になっていることと思います。
イベント続きの こんなときでも、、、あらら、何気に、
Dr. Pの『Turkey Seminar』の時間がやってまいりました。

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((((((((((((BOOK2第9回))))))))))********* 



☆★☆ それでは、例によって 前置き抜きに…第15回目の授業 開講します。
    起立っ 礼ぃ 着服(コラ!?)

  *****Turkey Seminar*****#015*****2004. 8. 14*****Dr. P*****

【2-09】 BOOK 2 : 現代宇宙論の萌芽
 
Sheet 15


    Sheet 14の時期が、陽子と中性子が創られた「ハドロン」とすれば、
    次の【長い一秒間】は、「レプトン期」とも呼ばれる時期です。

  Sheet 13 【宇宙創造の7日間】 第4期ビッグバン期
    横軸: 4-2: 10のマイナス8乗秒〜10のマイナス4乗秒1万分の1秒…(ハドロン期
    縦軸: 4-2: 10の14乗度K〜 10の12乗度K1兆度K…(ハドロン期

               

    横軸: 4-3: 10のマイナス4乗秒〜 10の0乗秒1秒 …… (レプトン期
    縦軸: 4-3: 10の12乗度K〜 10の10乗度K=100億度K … (レプトン期


    −−−−宇宙開闢後一秒の世界……Sheet 15は、ここから始めます。

ハドロンレプトン

  陽子、中性子は、電子の約1840倍の質量をもっています。このような重い素粒子
 の仲間をハドロンと呼びます。一方、電子のような軽い素粒子の仲間はレプトン
 呼ばれます。ハドロンの質量が大きいのは、それがクォークの結合という複合的な
 粒子だからです。ハドロン(すなわちクォーク)とレプトンはまったく別種の粒子の
 ように振る舞うので、物質の2大分類と考えてよいでしょう。

 ニュートリノの放出


 開闢後一秒で、宇宙の温度は100億度まで下がりました。この期間中に、重い順番でレプトンが次第にスープから「のけもの」にされていきます。重いレプトンは自然に軽いレプトン、すなわち電子へと崩壊していきます。このとき、それぞれのレプトンに対応するニュートリノが放出されますが、これらのニュートリノはもはや電荷と質量をもったレプトンへと後戻りすることはできません。

 こうして、この時期に「のけもの」にされたレプトンから放出された膨大なニュートリノ群は、その後現在まで、ほとんどいかなる物質とも相互作用しないまま、宇宙空間を飛び回っているはずなのです。こうしたニュートリノを観測する技術が確立すれば、宇宙誕生の映像ドラマは、より信憑性を帯びたものとなります。


 ところで、このレプトン期には、さらに重要なドラマが展開されています。それは「のけもの」にされた陽子と中性子のドラマです。実は、陽子と中性子は光子とのあいだの生成・消滅というストーリーからは「のけもの」にされていますが、レプトンである電子とのあいだでは相互作用が続いているのです。中性子は、電子とニュートリノを放出することによって陽子に転換することができるのです。核物質から出る放射能も、一部はこの作用そのものです。これが、いわゆる弱い相互作用です。

 また、その逆も起こります。こうして、陽子と中性子は互いの間で生成・消滅を行っています。だが、中性子は陽子よりわずかに重いため、この生成・消滅は完全に対称的には起こりません。つまり、重い中性子から軽い陽子への転換の方が起こりやすいのです。


 核物理学者たちは、このプロセスについて詳細な計算を行いました。そして、宇宙開闢後一秒経過した時点で、陽子と中性子の存在比は1対1ではなく、10対2になっているはずである、、と結論づけたのです。この陽子と中性子の存在比が、のちの宇宙の構造、すなわち、星や生命の誕生を、決定づける遠因となったのです。

ニュートリノ

  あなたの身体が毎日大量に浴びている素粒子の代表を3つ選ぶなら、
 1.光子)、 2.グラビトン重力子、 そして、3.ニュートリノ です。

  は身体を貫通していくものもあるが、反射されるものもあります。私たちは、
 それを感じることができます。

  グラビトンは、身体を構成するすべての素粒子と反応しています。
 それは重力として感じられるものです。

  これらに対して、すべてのニュートリノは、私たちの身体を貫通していく。
 毎秒毎秒、膨大な量のニュートリノ(そのほとんどは太陽から来ている)を
 浴びているにもかかわらず、私たちはその存在を感知するこができません。

  太陽の見えない夜だって、地球の裏から貫通してきたニュートリノを浴びて
 いるのです。地球を貫通できることから、ニュートリノを使って通信をしよう、
 という試みが経済産業省で本気に考えられているほどです。
  問題は、ニュートリノをキャッチできる受信機をどうやって、かつ経済的に
 つくることが出来るか、ということです。


 ●
核融合炉としての宇宙


 さて、宇宙誕生一秒後の100億度という温度は、ほぼ電子の質量に相当します。つまり、この時点を過ぎると光子はもはや電子・陽電子対を創生することはできなくなります。この時点においても、たしかに宇宙は濃密スープ(1CCあたり100キログラム)には違いないが、さまざまな素粒子が創造されたり消滅されたりするという、あの混沌とした変転自在の時期は、「遠い」過去の物語となったのです。では、次に起こることはいったい何だったのだろう?

 次の百秒は、とんでもない時代ではありますが、現代の私たちには馴染みの深い世界でもあります。なんと、この期間、宇宙は巨大に膨張していく核融合炉だったのです!

  Sheet 13 【宇宙創造の7日間】 第4期ビッグバン期
    横軸: 4-4: 10の0乗秒=1秒〜200秒……ヘリウムの生成 (核融合)

 陽子と中性子は、星の中心部で行われているように(温度はまだずっと高いが)、ヘリウム原子核を構成し始める。私たちが現在目にするヘリウム(風船の中のガスがそうだ)のほとんどは、この時期に創られたものなのです!! 太陽など恒星の中心部でもヘリウムは生成されていますが、それらが宇宙全体のヘリウム存在量に占める比率は非常に小さい。

 さきほど述べた要旨と中性子の存在量の比 10対2と、中性子の平均寿命(半減期)が約1,000秒ということから、この時期にどれだけのヘリウムが生成されたかを理論的に計算することができます。

 その結果は、まさに私たちが今、宇宙で観測する水素(陽子)とヘリウムの存在比を予言するはずです。結果は、質量にして3対1(個数にして12対1)。もちろんこの結果が観測結果とぴたりと一致していることは、前述の通りです。

 この後、30万年(なんという長い期間!)、宇宙はただひたすら膨張する以外、さしたるドラマを展開しません。素粒子の時代は終わり、すでに、銀河を、星を、生命を育む準備はなされています。30万年後、宇宙は、3000度に冷えているが、それはあたかも巨大な恒星の内部のよう。3000度になると、陽子は電子をとらえ、ここに水素原子が誕生する。このとき、光子は完全に陽子や電子との相互作用を打ち切り、宇宙は透明に晴れ上がるのです。ここから後、銀河形成の物語が始まったのです。しかしその後のシナリオは、素粒子創生の物語と違って、まだ謎に包まれたままなのです。

  Sheet 13 【宇宙創造の7日間】 第4期ビッグバン期
    横軸: 4-5: 200秒〜10の13乗秒=10兆秒=30万年 …→→宇宙の晴れ上がり
   
 縦軸 4-5: 10の9乗度K〜 10の3.5乗度K=3000度K…→→宇宙の晴れ上がり


 量子色力学電弱統一理論、すなわち標準理論が、宇宙開闢後の一時期(ビッグバン期)をいかにリアルに描くことができたか? を実感いただけたでしょうか? これはまさに、宇宙創成解明におけるゲージ理論の勝利といえるかもしれません、、ね。




 ●ゲージ理論の未解決問題


 電弱統一理論量子色力学、すなわち標準理論が、見事な成功を見せてくれたとはいえ、何もかもがそれで解決したわけでは無論ありません。

 おそらく、この二つの理論は、何かあるもっと根本的な原理の両面を表わしているのではないでしょうか? そして最終的には、これまで触れなかった重要な力、すなわち重力さえも含む、ひとつの完全な理論があるに違いありません。物理学者は常に、宇宙を記述するただひとつの方程式を求めており、それが発見されるまでは満足することがない、、のだと思います。

 物理学者のあくなき追究には、そうした審美的な理由だけでなく、もっと現実的な理由もあります。前回ちょっと触れたように、電弱統一理論ヒグス場という奇妙なを発明したのですが、なぜそういう場が必要なのか? あるいはヒグス粒子の質量はいくらなのか? という疑問がまだ解決していないのです。

 さらに、私たちにもっと身近で決定的な謎が残っています。それは、どうしてこの宇宙には物質ばかりがあり、反物質は存在しないのか? という疑問です。もし宇宙がまったく対称的な「無」から誕生したのだとすれば、陽子や電子がいくら生成・消滅を繰り返しても、結局は物質と反物質の量は同じはずであり、最終的に物質世界だけが生き残れるはずはないのだから。。。この対称性はいったいどの時点で破れたのだろうか?

ヒグス場(ヒグス機構)

  「」(field)というのは本来起伏のある土地のことで、きわめて具体的なイメージ
 があるのですが、ゲージ場あたりから話が抽象的になって、残念ながら一般の人に
 はなかなか理解しにくいものとなっているようです。しかし、一言で言ってしまえば、
 次のようなことになりますか。

  ゲージ場というのは、素粒子の基本的性質である対称性を保つために意識的に
 導入されたであり、例えて言えば、ダンプカーの往来で凸凹になった道路を平坦に
 ならすようなものです。

  一方、ヒグス場というのは、逆に対称性を破るために意識的に導入されたのこと。
 例えて言えば、せっかく平らにした道路だが、歩道を作るためにわざと高低差をつけ
 るようなことです。

  どちらも、素粒子の現実の姿を説明するために必要な数学的手段だと言えます。
  ヒグス場は、「真空の相転移」という新しい自然認識を私たちにもたらした点で、
 革命的な概念です。

 これらの謎に対して、もはや電弱統一理論量子色力学は無力というしかありません。そこで、より大局的な対称性をめざした理論が生まれてくるのは、科学の営みの必然といえます。


《ここで、少し復習しましょうか。。。》

 
自然界の四つの力」について:
   複雑そうに見える自然界ですが、実は全部で4つの力しか存在しません。
   これを強い順に並べますと、
  

1.強い相互作用(核力)  いわゆる原子力ですが、本当は原子の力ではありません。
 原子核の中の陽子と中性子(言い換えればクォーク同士)
を結びつけている、きわめて強い力。

2.電磁気力  +の陽子と−の電子を結びつける力だから、これこそ文字通り
「原子力」と本当は言うべきかもしれません。化学反応(ものが
燃えたり、色が変わったりなど、日常生活で経験するほとんどの
現象)は、この電磁気力によるものです。
 雷の威力からもわかるように、この力は非常に強く、かつ遠方
まで伝達します。

3.弱い相互作用  私たちにはもっとも馴染みの薄い力ですが、放射能を出す力の
ひとつとして考えてよいでしょう。放射能元素から電子が飛び出す
ベータ崩壊という現象を起こしている原因。
 1934年、エンリコ・フェルミによってその理論づけがなされ、その
後、この力をなかだちとするW粒子とZ粒子が発見されるに至って、
電磁気力との統一がなされました。

4.重力  人類がもっとも古くから知っていた力。上記1.〜3.の三力に比
べればきわめて弱いが、無限の距離まで届き、かつ引力しかない、
というのが特徴。このため、宇宙の巨視的な構造を決定する唯一
の力となっています。

《では、再開。。。》

 ●
大統一理論』 −「自然界の四つの力」統一へのステップ−


 電弱統一理論量子色力学をオーソドックスな方法で、一段高次の理論へと持ち上げてみるという試みがあります。オーソドックスな方法とは、ゲージ理論に従って、という意味です。こうして、強・電・弱ひとつの力の3つの側面とみなす『大統一理論』(GUTGrand Unified Theory)が1974年、シェルドン・グラショウらによって生み出されたのです。

シェルドン・L・グラショウ 1932〜

 ロシア系移民の子として New Yorkに生まれる。コーネル大卒。
1967年より、ハーバード大学教授となる。第4のクォークである「チャーム」を予言。
1979年、ワインバーグ/サラムと共に、ノーベル物理学賞を受賞。
スーパー・ストリング理論に対してはげしく反対している。

 しかし、自然界はこうした人間の真面目な努力に対して、常に皮肉な冷笑を浴びせるもの。かのニュートン力学が原子の世界では通用しなかったように、あるいは“素朴な”量子力学が無限大の発散の困難に出会ったように、ゲージ理論は大統一の世界においては、もはや最終的な勝者とはなり得ない。


 確かに、『大統一理論』はある面では成功しています。数学的にSU(5)と表現されている大統一理論のひとつのモデルでは、クォークとレプトンは見事な対称性を示しています。そして、そこから大統一理論は重大な予言をするのです。すなわち、これまで、絶対的に安定だと思われていた陽子が、レプトンへと崩壊する、というのです。それは、水の中にも大量に含まれる水素が消えて無くなるということだから、私たちの常識からすればあり得ないことではあります。ただポイントは、推定される陽子の寿命がきわめて長いということです。言葉を換えれば、それは確率の問題だといもいえます。


 このめったに起こらないが、ある微小な確率によって確実に起こるはずの陽子崩壊が、観測によって確かめられれば、大統一理論はきわめて有効な足場を得ることになります。日本人の学者も含め多数の研究者たちが、色めきたってこの陽子崩壊の観測に乗り出したのも頷けるところです。ただし、いまだ陽子崩壊の実例は報告されていない。


 もうひとつ、大統一理論が予言することがあります。それは、ニュートリノが質量をもつ、というものです。だが、残念ながら、こちらの方も長い研究にもかかわらず、結論が出ないままでいます。


 さらに、大統一理論モノポールの存在を予言しています。(Sheet 13 モノポールの項参照)
今ではほとんどの物理学者が、宇宙の初期には大量のモノポールが存在したことを信じているが、こちらもなぜか未だに発見されていない。一昔前には、バラ色に見えた大統一理論に、今や暗雲がたちこめている。。。



−−−−この続きは、次回に。 

  *********(((((((((((((BOOK 2-09 了)))))))))))))**********

次回(第16回目)は、

  ●
大統一理論』 (続き)−「エネルギーの砂漠地帯」の彼方にあるもの−

   から続きます。

   乞う ご期待! 


−−−That's All for Today ! So Long Everyone !

   (では、本日は、ここまで。)

By Dr. P
   
E-mail : poesie@s5.dion.ne.jp
       URL : http://poesie.hp.infoseek.co.jp/

         
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