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宇宙論Turkey Seminar 第16回



       2004.8.16
Turkey Seminar2-10

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みなさん こんばんは。
お盆休みのお陰で 数日間 静かな東京を満喫できました。。。。
さて、
Moon Light ♪ の光と音を 従えて 今夜も、、
Dr. Pの『Turkey Seminar』の時間がやってまいりました。

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((((((((((((BOOK2第10回))))))))))********* 



☆★☆ それでは、例によって 前置き抜きに…第16回目の授業 開講します。
    起立っ 礼ぃ 着服(コラ!?)

  *****Turkey Seminar*****#016*****2004. 8. 16*****Dr. P*****

【2-10】 BOOK 2 : 現代宇宙論の萌芽
 
Sheet 16


 大統一理論』 (続き)−「エネルギーの砂漠地帯」の彼方にあるもの−

 一昔前には、バラ色に見えた大統一理論に、今や暗雲がたちこめている。。。
 ゲージ理論のより高エネルギーへの応用は、まだ失敗だとは断言できませんが、しかしどうひいき目に見ても、成功したとは言い難いのです。 それでは、なぜそれほどに大統一は難しいというのでしょうか。



 Sheet 13 【宇宙創造の7日間】を表す壮大なグラフを、再び、頭の中に描いてみて下さい。
 お忘れの方は ↑ Click Here !!
 2. ●縦軸
  ・第1期…10の32乗度K(重力の分離開始)〜10の27乗度K(強と電弱の分離
  ・第2期10の27乗度K〜10の22乗度K〜10の27乗度Kインフレーションによる超冷却
  ・第3期ビッグバン期…エネルギーの砂漠地帯
        
10の27乗度K〜10の15乗度K=千兆度Kウィークボソンの分離(電と弱の分離)

  の部分を思い出して下さい。




 
強・電・弱の三力が統一される温度は、10の27乗度−−つまり、あのウィークボソンが「のけもの」にされる温度 10の15乗度K=千兆度K のさらに1兆倍なのです。


 このスケールの落差は、1メートル単位のものの運動を扱うニュートン力学が原子のことを述べる落差より、ラフに言って千倍も大きい。このような超々高エネルギーの世界では、前述したリアルな素粒子創生の映像と同じシナリオがもはや通用しないのは、当然ではないでしょうか。


 ゲージ理論によれば、あのウィークボソンが分離する温度第3期第4期の境ビッグバン期…10の15乗度K=千兆度K)から、3つの力が統一される温度(第2期と第3期の境…10の27乗度K)までの12桁のエネルギー落差のあいだ(第3期ビッグバン期)には、めぼしいことが何も起こりません。気の遠くなるような「エネルギーの砂漠地帯が私たちの前途には広がっているのです。

  Sheet 13 【宇宙創造の7日間】 第3期ビッグバン期
   横軸:10のマイナス33乗秒〜〜10のマイナス10乗秒=100億分の1秒 までの期間
   
縦軸:10の27乗度K〜10の15乗度K=千兆度K の期間


 加速器の巨大化競争が終焉を迎えたと言われるのも、この理由によります。もはや、ゲージ理論を信奉するかぎり、また現在の加速器の1兆倍のエネルギーを生み出せる加速器を建造しないかぎり、実験的成果は期待できない、というわけです。素粒子物理学者たちが、実験室から宇宙空間の出来事に目を向け始めたひとつの理由もココにあるのです、、ね。


 こうして、この超えがたいハードルを前に、物理学者たちは2つのグループに分かれ始めました。一つは、それでも着実に前進していこう、というグループ。遠くからは不毛の砂漠に見える「エネルギーの砂漠地帯にも、ひょっとしたらオアシスがあるかも知れない、というのが彼らの期待。そして何よりも、物理学とは実証的な学問だというのが、彼らの主張です。彼らは、現在建設中の史上最大の加速器SSCに熱いまなざしを向けています。


 もう一つは、ニヒリズムを一気に克服して思弁的な究極の理論へと向かうグループ。彼らは、堅実なゲージ理論と訣別する。そして、もっとラジカルで、先鋭的で、それゆえにアクロバット的にも見える、新たな理論を開発しているのです。

 インフレーション』あるいは奇妙な「へこみ」


 ところで、ゲージ理論を超越した究極の理論をご紹介する前に、強・電・弱の三力が統一される瞬間あたり(1. ●横軸時間で言うと、第2期10のマイナス35乗秒〜10のマイナス33乗秒のあたり)に、奇妙な「へこみ」があることに触れておきます。
 この「へこみ」は、このあたりで宇宙の温度が急激に低下したことを意味します(2. ●縦軸絶対温度では、第2期10の27乗度K10の22乗度K10の27乗度Kインフレーションによる超冷却を参照下さい)。


 それはまた、言い換えると、宇宙の膨張がビッグバンよりもさらに急激な、想像を絶するスピードで起こったことを意味します。この宇宙の超過激な膨張を「インフレーション」と呼びます。なぜ、そのようなインフレーションがあったと分かるのかと言いますと、それはビッグバン理論では解けなかった謎を、このインフレーション理論が見事に解決してくれたからです。ごく、かいつまんで紹介しておきますと………


 まず、インフレーション理論は現在の宇宙がきわめて等方的であることを説明します。次に、現在の宇宙がきわめて平坦であることも説明します。以上の2点は、宇宙の構造におけるきわめてプリミティヴな、それでいて証明しがたい謎だったのでした。

 また、素粒子論とのかかわりでは、インフレーション・モデルは、モノポールの不在を説明してくれます。

 『大統一理論』によると、モノポールはいわば真空の「縫い目」のようなものとされています。真空の相転移によって対称性が破れるとき、その「しわ寄せ」ともいうべき空間の歪みが宇宙の各所で生ずるのでしょう。その「しわ寄せ」あるいは「縫い目」こそが、モノポール自身なのだとされています。そこで、もし宇宙がインフレーションによって急激な膨張をすれば、こうした空間の歪み自体も急激に大きくなっていくことでしょう。こうして、私たちの周囲からモノポールは姿を消すのです。ついでながら、最近議論を呼んでいる宇宙ひもコスミック・ストリング)というのも、こうした空間の「縫い目」の一種のことです。

スーパー・ストリングコスミック・ストリングの違い:

  スーパー・ストリングはプランク時間以前の宇宙の主役となるのに対し、
  コスミック・ストリングは、プランク時間の後、「宇宙の相転移」と一緒に
  生まれるものです。


 ●
超ひも理論は「重力の無限大発散の困難」を解決したか?


 物理の世界は、最近ストリングばやりです。さきほど触れたコスミック・ストリングと、これから紹介するスーパー・ストリングはまったく別の理論ですが、素粒子論と宇宙論を結ぶ絆という意味では、共通の土俵にあり、あながち無関係とは言えません。まず、スーパー・ストリングがなぜ脚光を浴びているのか? から話を始めていきます。

 宇宙開闢から10のマイナス44乗秒後(第1期)、宇宙の温度はおよそ10の32乗度強・電・弱の三力が統一される温度10の27乗度のさらに10万倍)、このとき、すべての力に対して完全に対称的だった宇宙は、第一番目の相転移として重力を生み出します。ゲージ理論によれば、これはグラビトン(重力子)の誕生ということになります。

グラビトン(重力子)

   重力の相互作用をなかだちするゲージ粒子。あらゆる物質間に
  はたらく万有引力は、重力の場によって生じていると考えてよいで
  しょう。ところで、場を量子化して粒子として扱おうというのがゲージ
  理論ですから、重力場=粒子の存在ということになります。
   この粒子がグラビトンです。しかし、グラビトンの存在はまだ検証
  されていません。

 重力は、ニュートン以来、もっとも古くから知られた力ですが、物理学者にとっては最後に残った難関でもあります。なぜか? ニュートンによって発見された重力の理論は、アインシュタインによって、量子論とはまったく独立した理論として確立されました。これがいわゆる一般相対論です。量子論を信用しなかったアインシュタインは、この一般相対論によって宇宙の統一理論をつくろうと試みて、失敗したことは何度も述べてきた通りです。だが、一般相対論が誤謬に満ちた理論だったわけでは決してありません。その逆に、それは多くの成功を収めたし、きわめて厳密な実験に耐え抜いて生き残っているのが事実です。しかし、一般相対論と量子論とはまさに油と水の関係なのです。素粒子論で成功を収めたくりこみ理論は、一般相対論に対して完全に無力です。さらに、重力の無限大発散の困難を解決するゲージ理論には、いまだに成功したものがありません。しかし、宇宙をひとつの方程式で表わすためには、最後に残された4番目の力=重力=をどうしても強・電・弱の三力に組み込まなければなりません。そこで、注目されるのが、スーパー・ストリング理論なのです。

無限大の発散とくりこみ理論:

   場の理論では、空間にあらゆる波長の波動が存在すると考えるため、
  どうしても観測できる物理量に無限大という値が出てしまいます。
   この困難をシュウィンガー朝永らは、無限大から無限大を引き算して
  有限の値を導くという数学的技巧によって解決しました。
  これを「くりこみ理論」といいます。

   今では、「くりこみ」という操作は、単なる数学的操作ではなく、物理的に
  意味のあるものだと考えられています。

   ところが、現在の「くりこみ理論」では、重力を扱う一般相対論を量子化
  する場合には通用しないのです。これが、重力がもつ特異性であり、自然
  界の全力を統一できない最大の原因なのです。


日本の素粒子論の系譜

   1930年代に日本の素粒子論をリードしたのは、中間子の予言で日本人
  ではじめてノーベル賞を受賞した湯川秀樹(1907〜1981)です。

   その後、1940年代には朝永振一郎(1906〜1979)が「くりこみ理論」を
  発案し、また坂田昌一(1911〜1970)はクォーク模型の原形ともいえる
  坂田モデルを提唱しました。
  
   朝永と坂田の理論は競争的立場にあり、互いに刺激を与え合いました。
  戦後の日本の素粒子論は、湯川−朝永−坂田のラインで始まったと言っ
  ていいでしょう。これらの先駆者の「弟子」的世代にあたるひとりが、
  南部陽一郎(現シカゴ大学名誉教授、 1921〜)です。南部は早くに
  (31歳の時)アメリカに渡り、ストリング理論の先駆者となりました。

   南部陽一郎に師事し、その理論を展開していった研究者のうち何と
  18人もが、その後ノーベル物理学賞を受賞していることから、そろそろ
  先生の先生(南部氏)の受賞の番も近いと噂が絶えません。


 ●宇宙はひとつの方程式 !?
     −グリーン、シュワルツのスーパー・ストリング理論−

 この重力の無限大発散の困難は、簡単に言ってしまえば、素粒子を大きさのない点として扱うことから発生しているのです。それゆえ、素粒子を点ではなく、広がりをもったものとして扱う理論が昔からいくつも提唱されています。たとえば、日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹は、晩年「素領域理論」という独自の理論を展開しました。また、1968年に南部陽一郎らによって提唱された、素粒子をひも状の振動体と捉える理論も、ストリング理論のひとつでした。
 

素領域理論

   湯川秀樹は、晩年になっても素粒子の統一理論に執念を燃やし、
  独自に「素領域理論」を展開しました。しかし、残念ながらこの理論
  はかつての中間子理論のような成功は収めなかった。湯川には、
  宇宙は対称的なものだという審美的信念があったようで、クォーク
  理論がまだ実証されていない頃、1/3とか2/3などという中途半端な
  電荷をもった粒子の存在は認められなかったのである。

 しかし、そういうルーツをもつスーパー・ストリング理論は、ゲージ理論が抱える無限大の困難をいとも簡単に克服してしまうのでした。自然界の力の統一理論が発展して、ついに、重力と他の三力との統一が話題となるとき、ストリング理論スーパー・ストリング理論としてカムバックしてきたのも、今から見れば歴史的必然だったとようにも思えます。

 さらに、スーパー・ストリング理論にとって有利なことがあります。それは皮肉にも、かつてストリング理論の欠点として指摘されたことでした。ストリング理論は、その数学的帰結として、質量0、スピン2の素粒子を予言するのですが、もともとハドロンを記述する目的だった古いストリング理論にとって、この奇妙な粒子の存在は、邪魔者以外の何者でもなかったのでした。しかし、重力をもその中に含むスーパー・ストリング理論では、この素粒子こそが、重力のゲージ粒子に相当するグラビトン(重力子)なのです。

 もうひとつ、スーパー・ストリング理論の見事な結論があります。それは、「超対称性」と呼ばれるもので、ゲージ理論で予言されるグラビトンをも含むすべての素粒子が、完全な対称性によって記述されるのです。

 スーパー・ストリング
理論は、宇宙の開闢のまさにその瞬間において、すべての素粒子が一種類の極微の弦の振動であったことを宣言する。重力も、強い力も、電磁気力も、弱い力も、すべてはひとつの力だった。

 さらに驚くべきことに、ゲージ理論ではその役割分担が完全に区別されている物質(ハドロンレプトン)とゲージ粒子(物質間の接着剤である光子グルーオングラビトン)すらも、スーパー・ストリング理論にかかれば、同じ粒子の二面性として説明できるのです。これこそまさに、「超対称性」という言葉の所以なのです。

 こうして、スーパー・ストリング理論は、この宇宙の存在のすべてを説明することができます。よってこの理論は、「万物の理論」(TOETheory of Everything)という名誉ある(あるいは皮肉をこめた?)称号を得るに至っているのです。



−−−−さらに、スーパー・ストリング理論は、物質存在のみならず、この宇宙の時空構造をも記述します。興味津々のこの続きは、次回に。 

  *********(((((((((((((BOOK 2-10 了)))))))))))))**********

次回(第17回目)は、

  ●
スーパー・ストリング理論の見果てぬ夢−究極の思弁的宇宙へ

   を語り、BOOK 2:現代宇宙論の萌芽 の最終ゼミ とします。

   乞う ご期待! 


−−−That's All for Today ! So Long Everyone !

   (では、本日は、ここまで。)

By Dr. P
   
E-mail : poesie@s5.dion.ne.jp
       URL : http://poesie.hp.infoseek.co.jp/

         
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